2016 Fiscal Year Annual Research Report
Intelligent Manufacturing Science of Innovative Composite Structures Based on Optical-Fiber Life Cycle Monitoring
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26220912
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 展雄 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10171646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 忠均 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (00401232)
水口 周 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (70512359)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 複合材料 / 光ファイバセンサ / モニタリング / 成形 / 硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、以下CFRP)は、航空機構造の軽量化を図るため、主要な一次構造部材にもCFRPが適用されてきており、かつ日本の製造技術が多く用いられている。しかし、いまだ成形・組立などの製造上の問題および損傷後強度保証の難しさがあり、従来金属製航空機と比較して製造コストが高くまた十分な軽量化にも至っていない。 本研究では、ライフサイクルモニタリングによる構造高信頼化技術と,製造技術に課題はあるものの低コスト・高機能性のポテンシャルを有する新規CFRP製造プロセスを融合させる「複合材構造の知的ものづくり科学」を構築することで初めて可能になる、革新CFRP構造コンセプトを世界に先駆けて提案・実証することを目的としている。 [1]光ファイバ援用成形中その場物性評価基盤技術、[2]低圧成形CFRP、[3]熱可塑CFRP、[4]CFRP二次接着接合構造、[5]複雑形状CFRP構造、を主な対象とした光ファイバライフサイクルモニタリング技術を構築し、これらを用いた構造部材の品質保証・保守技術を確立する。最終的には、これら個別要素を最適配置した低コスト・高信頼性革新CFRP構造を実証する。具体的には、これまでに構築した光ファイバひずみ計測技術の計測速度を新規成形プロセスに適用可能なレベルまで向上させ、各製造プロセスにおける材料内挙動を詳細に評価する。光ファイバを考慮した複合材料モデルによる新規成形プロセスシミュレーションおよび損傷発生・進展解析を行い、実際の試験から得られる光ファイバ応答と照らし合わせることでCFRPの品質・健全性を評価する手法を確立する。最終的に補強板構造の部分構造供試体を用いて[6]実用模擬CFRP構造、の実用環境下でのライフサイクルモニタリング実証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
[1]光ファイバ援用成形中その場物性評価基盤技術: CFRPプリプレグ積層時に予め内部に埋め込まれた光ファイバセンサを用いて、現実のオートクレーブ成形中に、成形過程中の材料パラメータを測定し、成形シミュレーションコードに組み込み、これまで達成できなかった精度で合理的な成形シミュレーションを行うことに世界で初めて成功した。 [2]低圧成形CFRP:脱オートクレーブ(OoA)プリプレグについて、FBGセンサにより測定可能な成形熱残留ひずみに着目し、これを低減する成形条件を新たに提案し、実証した。 [3]熱可塑CFRP:多点FBGセンサや分布ひずみ計測技術を駆使して、厚板CFRTPのSkin-core効果の定量的評価を行うことにより、多様な成形プロセス条件でも残留成形ひずみを予測できる成形シミュレーション技術の構築に成功した。 [4]CFRP二次接着接合構造:接着フィルム内に光ファイバセンサを挿入し、成形圧力により生じるファイバ非軸方向の偏差ひずみに起因する偏光現象を光ファイバセンサで検出する手法を提案し、圧力不足を検出できることを実証した。 [5]複雑形状CFRP構造:面外方向に45度、-45度傾いた端部距離の短い2本のFBGセンサを用いて、成形中の面外方向垂直ひずみ・せん断ひずみを同時に同定する技術を開発し、成形過程中の両ひずみの変化の相違が成形品最終形状に与える効果を定量的に解明することに成功した。 [6]実用模擬CFRP構造:光ファイバ援用成形中ひずみ測定や成形品の運用時のひずみ測定における有効性の証明や問題点把握のため、実用模擬CFRP構造において多点FBGまたは分布ひずみ計測実験とモデル検証解析を行い、実用化への道筋を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
[1]光ファイバ援用成形中その場物性評価基盤技術、については、その優位性を確立するためにも、従来方法との相違や有効性の証明を行っていくことが必要と考え、実施していく予定である。 [2]低圧成形CFRP、[3]熱可塑CFRP、については、現在存在するCFRP材料について評価・検討を行っているが、今後の新規材料の開発にも資するべく、CFRP素材メーカーとの更なる討議を通して貢献する予定である。 [4]CFRP二次接着接合構造、については、知財の特許化も行いつつ、FAA認証をターゲットにした光ファイバ援用品質保証技術の構築への道を模索したいと考える。 [5]複雑形状CFRP構造、 [6]実用模擬CFRP構造、については、材料メーカー、構造設計メーカーとの綿密な情報共有が不可欠であり、信頼関係を構築することにより、更なる実用化を支える基盤学術研究としたい。
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Research Products
(16 results)