2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26221308
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 誠司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60292900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古関 明彦 国立研究開発法人理化学研究所, その他部局等, その他 (40225446)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / スプライシング因子 / マウスモデル / ゲノムシーケンス / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
①MDSにおける集団内多様性とクローン進化の解析: MDSから進展したAMLの症例において、剖検時に異なる骨髄の部位および末梢血より直接的に多数サンプリング(5か所以上)を行った。各検体について全エクソンシーケンスを施行し、MDS/AMLでは空間的な多様性が生じていることが明らかとなった。さらに、前MDS状態とみなされる再生不良性貧血(AA)については439例のシーケンス解析により、AAからMDSに至る過程で生じるクローン進化についてその全体像の解明を行い、論文を発表した(Yoshizato et al. NEJM 2015)。 ②変異RNAスプライシング因子の遺伝子標的の同定 : 200例のMDS患者および複数例の健常者の試料についてRNAシーケンスを行い、スプライシング因子の変異がRNAスプライシングに及ぼす効果を解析した。特に、骨髄単核球のみならず、造血幹細胞分画についても同様の検討を行った。SF3B1変異例では、野生型例に比較して、特徴的に3’スプライス部位の誤認識がおこり、異常なトランスクリプトが生ずることを明らかにした。実際に、3つのヘム合成に関わる遺伝子のミススプライシングが生じ、これらがこれらの変異に特徴的な環状鉄芽球の生成に重要な役割を担う可能性が示唆された(投稿準備中)。一方、SRSF2変異例では、変異タンパクが認識する部位のモチーフに基づき、エクソンの脱落や挿入が生ずることが明らかとなった。 ③マウスモデルを用いた解析:スプライシング因子(sf3b1, srsf2, u2af1, zrsr2)およびCohesin (smc3/stag2 cKO)、setbp1(cKOおよびD866N)にて、B6系統への戻し交配が進行中あるいは終了した。そのうち、Srsf2 P95H変異体マウスにおいて、造血幹細胞の造血再構築能の低下、幹細胞分画の数の低下、RNAスプライシングの異常が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①MDSにおける集団内多様性とクローン進化の解析については、概ね予定どおり研究が進捗している状況である。集団内多様性の検討は、複数例にて検体を採取しエクソームシーケンスにて解析した。さらに、再生不良性貧血からMDSへのクローン進化の研究については、クローン進化について詳細に明らかにすることができ、今年度NEJM誌へ掲載され、予想以上の成果がえられたと考えている。 ②変異RNAスプライシング因子の遺伝子標的の同定についても200例以上のMDS患者試料および健常者コントロールの検体に関するRNAシーケンスの解析がほぼ終了した。最も頻度の高いスプライシング変異(U2AF1, SRSF2, SF3B1)においては、特徴的なスプライシング異常の解明と標的遺伝子が同定され、この点では予定通りの進捗が認められている。特にSF3B1変異においては病態と深く関わる遺伝子にスプライシング異常が検出され、大きな成果が得られたと考えている。 ③マウスモデルを用いた解析: MDSにおける主要な変異のうち、RNAスプライシング因子(sf3b1, srsf2, u2af1およびzrsr2)およびCohesin (smc3/stag2 cKO)、setbp1(cKOおよびD866N)に関してこれらの欠失アレルおよび機能獲得型アレルの構築を行い、B6系統への戻し交配がほぼ終了している。現在、setbp1およびzrsr2に関しては、造血細胞の形質を解析する準備を進めている。さらに研究が先行しているSrsf2 P95H変異体マウスについては、スプライシング異常を解析可能な状況となっており、全体として、おおむね順調に進捗しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①MDSにおける集団内多様性とクローン進化の解析:集団内多様性に関しては、さらに症例を追加して、現在のプレリミナリーな結果を検証する。クローン進化の解析に関しては、これまでのMDSへの進展時に生じる変異パターンの解析をうけて、MDSの進展および、二次性のAML発症のメカニズム解明を進める。初診時およびAML進展時に採取された試料、および、数年間にわたって経時的に採取されたMDS試料について標的シーケンスおよび全エクソンシーケンスを行い、クローン進化の解析を引き続き行い論文を投稿する。さらに、これらのシーケンス結果の検証とデータ解析の結果を、実際の臨床経過に当てはめてモデル化を試みる。とりわけ、MDSからAMLへの進展にともなって生ずる遺伝子変異、および非白血病死に関係する因子の抽出をも試みる。 ②変異RNAスプライシング因子の遺伝子標的の同定 : これまでの解析から同定された標的遺伝子について、その異常がMDSの表現型、白血病進展を惹起するメカニズムについて、引き続き解析を行う。マウスモデル、ナンセンス依存性分解抑制など、機能解析技術を用いたシステムによって詳細な解析を行う。 ③マウスモデルを用いた解析: MDSにおける主要な変異である、RNAスプライシング因子(sf3b1, srsf2, u2af1およびzrsr2)およびCohesin (smc3/stag2 cKO)、setbp1(cKOおよびD866N)に関して戻し交配の進んだラインについては、順次解析を進める。具体的には、zrsr2およびsrsf2マウスについて重点的に解析を行う。srsf2変異マウスでは、srsf2変異単独ではMDSの表現型を示さないことから、SRSF2変異としばしば共存することが知られている他の変異との関連を検討することにより、両者の相互作用とそのMDS発症への役割について明らかにする。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Somatic Mutations and Clonal Hematopoiesis in Aplastic Anemia.2015
Author(s)
Yoshizato T, Dumitriu B, Hosokawa K, Makishima H, Yoshida K, Townsley D, Sato-Otsubo A, Sato Y, Liu D, Suzuki H, Wu CO, Shiraishi Y, Clemente MJ, Kataoka K, Shiozawa Y, Okuno Y, Chiba K, Tanaka H, Nagata Y, Katagiri T, Kon A, Sanada M, Scheinberg P, Miyano S, Maciejewski JP, Nakao S, Young NS, Ogawa S.
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Journal Title
N Engl J Med.
Volume: 373(1)
Pages: 35-47.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Aberrant DNA Methylation Is Associated with a Poor Outcome in Juvenile Myelomonocytic Leukemia.2015
Author(s)
Sakaguchi H, Muramatsu H, Okuno Y, Makishima H, Xu Y, Furukawa-Hibi Y, Wang X, Narita A, Yoshida K, Shiraishi Y, Doisaki S, Yoshida N, Hama A, Takahashi Y, Yamada K, Miyano S, Ogawa S, Maciejewski JP, Kojima S.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10(12)
Pages: e0145394.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] GATA2 and secondary mutations in familial myelodysplastic syndromes and pediatric myeloid malignancies.2015
Author(s)
Wang X, Muramatsu H, Okuno Y, Sakaguchi H, Yoshida K, Kawashima N, Xu Y, Shiraishi Y, Chiba K, Tanaka H, Saito S, Nakazawa Y, Masunari T, Hirose T, Elmahdi S, Narita A, Doisaki S, Ismael O, Makishima H, Hama A, Miyano S, Takahashi Y, Ogawa S, Kojima S.
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Journal Title
Haematologica.
Volume: 100(10)
Pages: e398-401.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] BRCC3 mutations in myeloid neoplasms.2015
Author(s)
Huang D, Nagata Y, Grossmann V, Radivoyevitch T, Okuno Y, Nagae G, Hosono N, Schnittger S, Sanada M, Przychodzen B, Kon A, Polprasert C, Shen W, Clemente MJ, Phillips JG, Alpermann T, Yoshida K, Nadarajah N, Sekeres MA, Oakley K, Nguyen N, Shiraishi Y, et. al. Ogawa S.
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Journal Title
Haematologica.
Volume: 100(8)
Pages: 1051-7.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Molecular profiling of MDS2015
Author(s)
Seishi Ogawa
Organizer
the 56th Autumn Meeting of the Korean Society of Hematology
Place of Presentation
Hotel Inter-Burgo, Deagu(Soul)
Year and Date
2015-11-06 – 2015-11-06
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] Founder and subclonal somatic mutations contributing to leukemic evolution in myelodysplastic syndromes and related myeloid neoplasms2015
Author(s)
H Makishima, K Yoshida, B Przychodzen, T Swapna, B Patel, Y Nagata, S Miyano, M Sekeres, L Shih, S Ogawa, J Maciejewski.
Organizer
The 13th International Symposium on Myelodysplastic Syndromes
Place of Presentation
ワシントンDC(U.S.A.)
Year and Date
2015-05-01 – 2015-05-01
Int'l Joint Research
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