2017 Fiscal Year Annual Research Report
Homeostasis of hematopoietic stem cells and its breakdown
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26221309
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
須田 年生 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 卓越教授 (60118453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 理也 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 准教授 (10347304)
石津 綾子 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員准教授 (10548548)
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任助教 (50620225)
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Project Period (FY) |
2014-05-30 – 2019-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞ニッチと幹細胞動態の研究、ならびに幹細胞におけるDNA損傷反応に関する研究を展開し、しかるべき成果を得て論文発表すことができた。 幹細胞ニッチに関する研究に関しては、Integrin avb3 が周囲の環境に応じて、サイトカインシグナルを増強することを通して、造血幹細胞の維持・分化を制御することを示した(EMBO J, 2017)。 造血幹細胞の代謝に関連した研究では、造血幹細胞が分裂する直前に、細胞内カルシウムの上昇を通して、ミトコンドリアの機能が活性化することを見出した。さらに、造血幹細胞分裂直前の細胞内カルシウムが上昇をカルシウムチャネル阻害によって抑制すると、① 造血幹細胞の分裂が遅延すること、② 分裂後の幹細胞性の維持(自己複製分裂)に寄与することを示した。また、in vivo において、造血幹細胞周辺のMyeloid progenitor(lineage-Sca-1-c-kit+)細胞が細胞外アデノシンが造血幹細胞の細胞内カルシウムの上昇やミトコンドリア機能の制御に関与することも確認した。さらに興味深いことに、Myeloid progenitorは、上記の細胞外アデノシンによる造血幹細胞の与える影響を増強していることも見出している(JEM in Revision)。 造血幹細胞におけるDNA 損傷反応における研究では、Shelterinと呼ばれるタンパク複合体の構成因子Pot1aが、造血幹細胞のDNA損傷の防止に加えて、活性酸素(ROS)の産生を抑制し、造血幹細胞の機能維持に寄与することを新たに明らかにした(Nat Commun, 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の須田年生が、2014年から2015年にかけて、研究室を、慶應義塾大学から熊本大学に移動したのに伴い、当初は多少の立ち遅れがあった。しかしながら、慶應時代からの多くの共同研究者の支援、本大型研究費によって、熊本大学での研究も順調に進み、初期の目的は果たしていると考えている。本研究の前半の成果を基に、新たな課題が立ちあがっており、その解決にも努力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き、先行研究に基づき、造血幹細胞におけるミトコンドリア代謝・オートファジーを、研究分担者梅本晃正らとともに進める。 研究分担者馬場理也らとともに、FLCN KO マウスの造血細胞における代謝異常にに関しては、TFE3の関与を中心に検討する。 また、オートファジー関連分子であるATG7欠損マウスの解析を通して、造血幹細胞におけるミトコンドリア量、並びに活性酸素の産生・蓄積・消去に関与するメカニズムに着目し、これらが造血幹細胞に及ぼす影響を検討する。 これらの研究の成果を基に、ミトコンドリア代謝の制御による造血幹細胞の in vitroでの維持・増幅の技術開発を行い、幹細胞 ex vivo増幅への新たな応用を目指す。
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Research Products
(18 results)