2014 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の予防へ向けた行動・心理動態の実時間モニタリングの臨床応用に関する研究
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26242069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 義春 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60251427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 司 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50235256)
吉内 一浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70313153)
北島 剛司 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (40360234)
森田 賢治 東京大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (60446531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 報酬機能 / 気分障害 / 行動リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自発的身体活動における「行動組織化」と気分障害患者にみられる「間欠性」の増大、および報酬系機能異常との関連性を切り口に、日常生活下の身体活動・気分・身体症状・報酬系機能の同時連続モニタリングに基づく精神医学的・数理科学的根拠を伴ったうつ病の早期発見・予防技術の開発とそのモバイルヘルスシステムへの実装を目指す。 本年度は、日常生活下における報酬系機能評価が可能な報酬系ecological momentary assessment(EMA)ネットワークシステムの開発を行った。最適な報酬・心理課題の検討を行うとともに、日常生活下での課題実行およびネットワークを介したサーバへの結果の蓄積、結果に応じたフィードバックを可能とするシステム基盤を構築した。 一方、治療過程や再発、増悪、軽快といった臨床的分岐点における身体活動と臨床スコアとの共変性の検討、および先行研究で得られた行動組織化指標の精神医学的妥当性を検証するため、双極性障害患者(BP)および睡眠相後退症候群(DSPS)を対象に、身体活動の長期連続計測を行った。DSPS(n=18、>1週間)の身体活動時系列の行動組織化解析の結果、大うつ病性障害患者と同様に休息期間の系統的な増加がみられ、その分布形状(べき乗分布)を特徴づけるパラメータ(べき指数:行動組織化指標)に有意な減少を確認した。また、概日リズムに関しては、アクロフェーズ(日中の活動ピーク)の後退(臨床スコアと有意な相関)とセミサーカディアンの振幅の低下が確認された。これらの結果は、うつ病の前駆症状の一つであるリズム障害の客観的評価が自発的身体活動から可能であることを示唆する。 また、臨床的分岐点近傍において行動・心理動態の変容に関わる背後の生体システムの動力学的構造を明らかにする目的で、身体活動時系列データに基づく動力学構造の再構築手法の開発を行い、BPの病相転移時期における動力学構造の急激な変化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報酬系機能評価システムの開発が順調である。次年度以降、行動指標の精神医学的妥当性の評価および動力学構造の解明に資するデータの蓄積が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床的分岐点における行動・心理動態の不安定性や遷移・破綻現象を評価・予測する客観的・定量的手法の開発と、その背後に存在する動力学的機序の解明に資するデータ蓄積を継続するとともに、モバイルヘルスシステムへの実装を見据えた報酬系機能・行動異常評価手法の開発およびその精神医学的妥当性の検証を行う。一方、背後の生体システムの動力学的構造をデータ駆動型で再構築する数理学的手法を開発することにより、疾患の動力学的機序の解明および臨床的分岐点の予測可能性を明らかにする。
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Research Products
(7 results)