2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26245046
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金井 壽宏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80135780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 淳 立教大学, 経営学部, 教授 (00342618)
杉万 俊夫 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (10135642)
松嶋 登 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10347263)
浦野 充洋 関西学院大学, 商学部, 准教授 (10613614)
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (20268593)
中村 和彦 南山大学, 人文学部, 教授 (30269683)
北居 明 甲南大学, 経営学部, 教授 (30278551)
尾形 真実哉 甲南大学, 経営学部, 教授 (50454723)
守島 基博 学習院大学, 経済学部, 教授 (60230116)
服部 泰宏 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (70560150)
鈴木 竜太 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80295568)
小野 善生 滋賀大学, 経済学部, 教授 (80362367)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 組織開発 / 実践 / アクションリサーチ / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究実施計画どおりに、組織開発の実践を捉える方法論の整備を行ってきた。具体的には、組織開発の科学としての厳密性と実務への適切性という両側面から検討した理論研究を行い、研究者がそうした両側面をトレードオフと捉えるのでなく、いかに科学やその分析手法を経営課題の解決を目的として道具的に活用するかという視点から考察してきた。 さらに、社会科学のみならず自然科学をも含んだ科学が持つ、実践的効果の探求という新たなテーマにも取り組んだ。具体的には、今日の企業では、これまで与件として捉えられてきたサイエンスがマネジメントの対象となっており、組織開発と同様に科学の捉え方に転回が求められることを、具体的な事例研究を基に明らかにした。 次に、組織開発と同様、日常生活の自明性を明らかにすることを通じた実践への介入を志向する批判理論の視座から検討を行った。具体的には、批判理論における世界的な研究者であるMartin Parker教授を招聘し、SUMS‐Kobe International Research Workshop 2017「日本のポピュラー・カルチャー(Manga)を考察する:西洋との対話の構築に向けて」というワークショップを開催した。ここでは、日本で生まれ、海外に輸出された漫画やアニメ (特に、日本人労働者を主人公とする作品) を取り上げ、日本人の考え方が海外でどのように受容されているのかについて議論を行った。その結果、ワークショップ参加者の日本人にとって自明視されていた、日本的経営に通底する価値観を批判的に検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織開発の実践を捉える方法論の整備を行うにあたり、平成29年度は主に2点に取り組んだ。第1に、組織開発の科学としての厳密性と実務への適切性という両側面から検討した理論研究を行った。第2に、社会科学のみならず自然科学をも含んだ科学が持つ、実践的効果の探求という新たなテーマを経験的調査によって明らかにした。また、その成果は学術論文のみならず、日常生活の自明性の解明を通じた実践への介入を志向する批判理論の視座から行ったワークショップ形式を通じても発信された。 しかしながら、これまで蓄積してきた研究をもとに、組織開発を体系的かつ理論的に整理する中で、現在の企業経営において効果的な組織開発のあり方を考察し、研究者が組織に積極的に介入していく際の方法論の整備に関して、さらなる検討の必要性が見込まれた。具体的には、第1に、これまでの理論的検討を踏まえ、企業経営に介入していく手法を開発しつつ、実際に組織に介入するアクションリサーチを目指すこと。第2に、経営実践へ介入する方法論の整備を、経営学全般に拡張して行うことである。 とはいえ、現在までの達成度を総合的にみれば、おおむね計画通りだと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方略は、企業経営に介入していく手法を開発しつつ、実際に組織に介入するアクションリサーチと経営実践へ介入する方法論の整備を経営学全般に拡張した体系化の2点である。このような企業実践への介入や経営学全般に拡張した体系化を図るためには、研究分担者以外の協力を得る必要がある。前者に関しては、これまでも服部による採用に関する人事担当者との連携や中原による研究所との共著書籍の出版といった協力が行われてきたものの、さらなる企業の人事担当者や社会人院生を含む実務家との協力体制が求められる。後者に関しては、これまでにも鈴木による海外から教授を招聘したワークショップの開催や浦野による専門領域の異なる研究者との共同研究が行われてきたものの、さらに幅広い、かつ古典的学説に精通した研究者との共同研究や研究会の開催による理論的深耕が求められる。加えて、本科研のメンバーが各々抱える大学院生の研究指導を通じた研究体制の組織化も必要であるといえよう。したがって、そのための謝金や旅費に支出する予算を計上し、最終年度に向けた研究を推進していきたい。
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Research Products
(48 results)