2014 Fiscal Year Annual Research Report
革新的低温高圧装置と中性子を駆使した氷の未解決問題と惑星科学へのアプローチ
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26246039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍵 裕之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70233666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 一生 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50541942)
服部 高典 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, J-PARCセンター, 研究員 (10327687)
町田 真一 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, 中性子科学センター, 研究員 (30554373)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中性子回折 / 量子ビーム / 惑星起源・進化 / 地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
氷は水分子が織りなす多様な水素結合のネットワークと水素の秩序ー無秩序状態の存在によって、きわめて多様な多形が存在し、古くから現在に至るまで多くの研究者を魅了し続けていた研究対象である。氷の構造研究には中性子回折実験による水素原子位置の精密な決定が不可欠で、低温高圧条件で自在に温度圧力条件を制御して実験を行うことが求められる。しかしこれまでこのような実験装置は実現して折らず、低温高圧下での氷の構造の物性には多くの未解決問題が残されている。本研究計画では、申請者らが開発した低温高圧実験装置に改良を加えて、到達下限温度を下げ、J-PARC PLANETビームラインでの低温高圧下における中性子回折のその場観察実験に適用する。 当該年度は、新たに高圧装置用真空チャンバーを製作し、高圧発生装置をクライオスタットと接続することにより、50 K程度までの低温条件で高圧力を発生できることを確認した。既に装置は完成し、現在はJ-PARC PLANETビームラインに設置されている。本装置を用いた実験は平成28年度から本格的に開始する。 これらの装置開発と並行して、低温高圧条件において氷に金属塩化物が取り込まれる過程を中性子回折、X線回折、振動分光法で解析する研究を進めた。その過程で、新たな金属塩化物の水和物を発見するなどの成果を得た。また、高い静水圧条件で高圧相の氷の単結晶構造解析を行うなど、氷の結晶構造の精密決定に関連した成果も得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置製作に時間を要したが、結果的にはおおむね順調に研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、低温高圧下での中性子回折実験を基軸として高圧氷の構造と物性の研究を継続していく。
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Research Products
(6 results)