2014 Fiscal Year Annual Research Report
Floer 理論の深化と symplectic 構造の研究
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26247006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 薫 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (20204232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉屋 周一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80127422)
石川 剛郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50176161)
枡田 幹也 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00143371)
秦泉寺 雅夫 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20322795)
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
松下 大介 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90333591)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シンプレクティック構造 / Floer 理論 / 正則曲線と量子コホモロジー / Lagrange 部分多様体 / 倉西構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、倉西構造とそれを用いた仮想的基本類・仮想的基本鎖の構成の詳細を与えた Kuranishi structure, pseudo-holomorphic curve and virtual fundamental chain: Part 1 を深谷賢治氏、Yong-Geun Oh 氏、太田啓史氏との共著として纏めた。また、それに関わる general topology 的な議論は、Shrinking good coordinate systems associated to Kuranishi structures (4人の共著)として独立させた。これに続く、仮想的基本類・仮想的基本鎖の応用のパッケージ化を Part 2, Part 3 において行う予定で、その草稿の作成も進んでいる。 Hamilton 微分同相写像の不動点の個数に関する Arnold の予想は、すべての不動点が非退化な場合の Betti 数による評価に関しては証明されている (深谷-小野、Liu-Tian) が、元々の形での評価には至っていない。特に、基本群が非自明な場合、基本群の生成元の最小個数や、生成元と関係式の最小個数による評価もまだ得られていない。小野は、Andrei Pajitnov 氏(Universite de Nantes) との共同研究で、この方向を多少なりとも進め、On the fixed points of a Hamiltonian diffeomorphism in presence of fundamental group (Pajitnov 氏との共著)として纏めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、本研究計画の初年度であり、研究の基盤となる仮想的基本類・仮想的基本鎖の構成の詳細を解説論文として纏められたことで、今後の論文執筆などの研究計画を進めるなかで良好な出発ができたと考えている。 Hamilton 微分同相写像の不動点に関する Arnold の予想に関連して、Andrei Pajitnov 氏と基本群の非自明性から従う不動点の存在について共同研究を行った。 平成26年度中に、国内、国外で行った講演の際には、講演準備や講演後の議論なども含めて、これまでの研究 (Lagrange 部分多様体の Floer 理論の一般論、compact toric 多様体の Lagrange トーラスファイバーの Floer 理論と ホモロジー的 mirror 対称性に関する研究、bulk 変形を含めた Hamilton 微分同相写像のスペクトル不変量や partial sympelctic quasi-states の理論、深谷圏の分裂生成条件とその応用など)を見直し、整理するよい機会となった。これらの研究のうち、いくつかは、論文投稿中であり、必要ならば手をいれて本研究計画期間中には掲載できるようにしたいと考えている。折に触れて、関連した研究をしている専門家と研究上の連絡がとれたことはよかった。 新たな研究課題を見つけるためには、関連した研究について正確な情報を得ることは重要である。そのために、数人の活発な研究者を招聘し、密な議論ができたことは収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画はおおむね順調に進んでいる。今後も当初の計画通り研究を進める。 我々の研究グループの成果に関心を持つ研究者からは、連続講演などの依頼を受けている。(2015年5月は Alexandru Oancea 氏 (Jussieu 数学研究所) を訪れ、連続講演や討議を行う。2015年6月は Bohui Chen 氏 (四川大学) から倉西構造と仮想的基本類・基本鎖の構成についての mini-course を、2016年1月には Bai-Ling Wang 氏 (Australian National University) からも mini-course の依頼を受けている) こうした機会を活かし、他の研究者の動向も参考にしながら、本研究計画をより実りあるものにする。 研究成果を論文として纏め、出版すべく作業を進める。これまでの研究成果の上に気づき上げるため、査読者からは大幅な加筆を求められることも少なくない。簡潔かつ十分な記述で研究成果を伝えられるように工夫をする。 今後の研究の幹となるであろう 「深谷圏の分裂生成条件」に関する Mohammed Abouzaid 氏、深谷氏、Oh 氏、太田氏との5人の共同研究を、論文として公表することは本研究計画の中でも重要であり、そのために細心の注意を払いながら論文作成をする。 Hamilton 微分同相写像の Arnold 予想に関わる Andrei Pajitnov 氏との共同研究の 議論の中身は、それぞれの経験に基づく知識を持ち寄り、それに多少の改良を施すことで得られた。更に改良するにはどうすればよいかはすぐには分からないので、そこまでで論文としたが、まだ明らかにできることもあると思われるので、もう少しアイデアを暖めて研究を進めたい。この研究では、20年ほど前の小野と Hong Van Le 氏 (Czech Academy of Science) の研究が下敷きになっているので、2015年2月に Le 氏を訪問し、関連した事項について議論を行った。今は情報収集、分析の段階で具体的な研究には至っていない段階であるが、Le 氏も含めた研究に広げていければよいと考えている。
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Research Products
(4 results)