プラズマジェットによる金属蒸気輸送ダイナミクスと溶接アーク熱輸送現象の可視化

2014 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26249101
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 田中 学 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (20243272)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 茂田 正哉 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (30431521) ; 田代 真一 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (70432424)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 可視化 / 計測工学 / シミュレーション工学 / 溶接 / アーク

Outline of Annual Research Achievements

ものづくりに必須の基盤技術でありながら、未だ「巧みの世界」と言われるアーク溶接技術を科学に立脚した技術に発展させるため、(1)アーク溶接プロセス中の動的なプラズマ温度分布ならびに金属蒸気密度分布を実験的に把握すると伴に、(2)高速プラズマジェットの流速および流れ場を可視化することにより金属蒸気の導入ダイナミクスを実験的に把握する。さらに、(3)アーク溶接プロセスの数値シミュレーションを通じて、(4)実験結果と比較検討することにより、プラズマジェットによる金属蒸気輸送に起因したアーク溶接の熱輸送現象を定量的に可視化し、それらが溶接技術にとって重要な溶融プール形成に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。
平成26年度では、高感度・高速度イメージ分光可視化システムを構築した。既存設備の高速度イメージ分光ビデオカメラ（大阪大学接合科学研究所）を有効に活用することにより、4つの線スペクトルイメージを高速度で同時に計測できることを可能にした。適切な撮影速度と露光時間を選択することにより、プラズマ温度と金属蒸気密度の動的変化を実験的に捉えることが可能である。加えて、シュリーレン法による同期計測を行い、高速プラズマジェットの流れ場の可視化に成功した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画どおり、平成26年度では、高感度・高速度イメージ分光可視化システムを構築できた。限られた交付金額の中、できるだけ経費を抑えつつ、かつ、最大限に当初計画の学術目標を達成するために、導入する設備（システム）のデザインを再検討した。特に、既存設備の高速度イメージ分光ビデオカメラ（大阪大学接合科学研究所）を有効に活用することにより、4つの線スペクトルイメージを高速度で同時に計測できるように工夫した。さらに、シュリーレン法による同期計測を加えることにより、高速プラズマジェットの流れ場の可視化を実現した。当該システムを用いて、適切な撮影速度と露光時間を選択すれば、シールドガスや金属蒸気の原子線スペクトルをイメージ計測できることが確認された。このため、当初計画どおり、プラズマ温度と金属蒸気密度の動的変化を実験的に捉えることが可能なシステムの構築に成功した。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度に予定どおり高感度・高速度イメージ分光可視化システムの構築に成功したので、当初の計画どおり、平成27年度には、当該システムを活用し、アーク溶接プロセス中の動的なプラズマ温度分布ならびに金属蒸気密度分布を測定する。同時に、高速プラズマジェットの流れ場を可視化する。他方、我々の研究グループのオリジナルで実績があるアーク溶接の数値解析モデルを拡張し、アークプラズマ中の金属蒸気密度分布、プラズマ温度分布などを数値シミュレーション結果として定量的に可視化する予定である。
これらにより、実験による可視化と数値解析による可視化を比較検討する準備を整える。