2016 Fiscal Year Annual Research Report
バラ科果樹の休眠および季節的成長制御におけるDAM遺伝子の機能解明
Project/Area Number |
26252005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (10211997)
羽生 剛 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60335304)
高居 恵愛 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70589770)
伴野 潔 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (80127125)
河井 崇 京都大学, 農学研究科, 助教 (90721134)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 果樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、DEX誘導型ウメPmDAM6過剰発現リンゴを用いたウメPmDAM6下流制御機構の解析をおこなった。PmDAM6は落葉期の葉で発現が上昇し、休眠期の芽で発現が維持され、休眠覚醒期には発現が低下する。落葉期にDEX誘導型ウメPmDAM6過剰発現リンゴにDEXを処理すると落葉は促進されることからPmDAM6は葉において落葉を促進していると考えられる。そこで落葉期の葉、休眠覚醒期の芽においてDEX誘導時に特異的に発現変動する植物ホルモンを探索した。落葉期の葉においてDEX誘導8,16,24時間後における植物ホルモン内生量を調査した結果、処理16時間後にジャスモン酸が上昇することがわかった。RNA-seq解析の結果、処理8時間後にはジャスモン酸生合成遺伝子の発現も上昇することが明らかとなった。よって、PmDAM6はジャスモン酸生合成を促進することで葉の老化や落葉を促進していることが示唆された。一方、DEX処理が休眠覚醒に与える影響については、DEXを芽内部へ浸透させる処理方法を検討中である。35S:PmDAM6過剰発現リンゴでは萌芽遅延が観察されているため、PmDAM6が萌芽遅延を引き起こすメカニズム解明が望まれる。 次に、GBS法によるQTL解析をおこなった結果、低温要求量や萌芽期ならびにPmDAM6発現量を制御するQTLが検出された。2つの異なる分離集団から同領域にQTLが検出された。 また、ウメやモモとやや遠縁なサクラ属果樹であるオウトウにおけるDAM遺伝子の発現解析をおこなった。ウメやモモと同様DAM5, DAM6遺伝子は休眠覚醒に伴って発現が低下した一方、DAM4遺伝子は休眠期間中の発現量が他のDAM遺伝子と比較して高く推移し、かつ低温遮断によって発現が消失するというDAM5,6とは対照的な発現変動を示した。今後はDAM4遺伝子の役割解明を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ウメではじめて、低温要求量QTLを検出することに成功した。サクラ属における、新規遺伝子座である可能性が高い。また、この領域には休眠因子DAM6の発現をトランスに制御する遺伝子が座乗しており、解析を進めることでDAM6の上流因子を同定できる可能性がある。また、DAM6がジャスモン酸経路を制御する可能性が示唆された。DAMの下流因子についてはこれまでまったくわかっておらず、新規の知見であり、学術的に評価される。有力な制御経路の同定に成功しており、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
・QTLに座乗する遺伝子に関する発現解析をすすめ、ウメの休眠制御に関わる新規遺伝子の同定を進める予定である。 ・DAM6が萌芽遅延を引き起こすメカニズム解明をめざして、DEX誘導型過剰発現体を材料にさらに生化学的解析を進める。 ・オウトウDAM4遺伝子に関する解析を進める。 ・リンゴ新規休眠制御候補遺伝子であるMADS-box遺伝子の機能解明を進める。
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