2017 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の浸透圧調節研究の基盤拡充とセシウム除染技術の確立
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26252032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 豊二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70221190)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モザンビークティラピア / カリウム / HKA / KCNQ1 / NKCC2 / NCCb / 胃 / 腸 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ティラピアの消化管でK+とNa+が主にどの部位でどの程度吸収されるのかを検討するため、消化管を複数の部位に分け、経時的に内容物を採取し、K+とNa+の濃度を測定した。その結果、胃から腸の前半部にかけてK+濃度が大きく減少した。また、時間経過に伴って胃内のK+濃度が徐々に低下した。このことから、餌料として口から摂取されたK+はまず胃に滞留している間にその多くが吸収され、腸の後半へ移行するにつれてさらに吸収が進むことが示唆された。 2.消化管内のK+輸送に関わると考えられる輸送分子について、定量PCRによって組織別発現解析を行った。その結果、胃においてK+の吸収を担うとされるHKAおよびHKAと共役するカリウムチャネルKCNQ1が胃に特異的に発現していることが示された。一方、腸においてはK+、Na+、Cl-を輸送するNKCC2およびNa+とCl-を輸送するNCCbが特異的に発現していた。従って、胃においてはHKAとKCNQ1が、腸においてはNKCC2 とNCCbが、K+輸送に寄与すると考えられた。次に、これらの輸送分子に対する絶食の影響を検討した結果、胃における発現が確認されたHKAおよびKCNQ1の発現が、絶食条件下において低下する傾向が見られた。それに対し、腸において発現が確認されたNKCC2およびNCCbの発現は絶食条件において変化はみられなかった。 3.ティラピアの胃を用いてサックを作製し、実際にイオンがどの程度輸送されているのかについて検討した。胃のサック実験は、採取した胃に調製した内液を入れたものを糸で吊るして培養液 (L-15) に浸し、1時間インキュベートした。その結果、内液のK+濃度の低下がみられた。さらに内液のpHの低下も認められたことから、胃内腔のK+と胃腺細胞内のH+が交換的に輸送されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた研究項目については、いずれも研究が順調に進み、おおむね計画通りの成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
年度の研究の推進により、モザンビークティラピアの消化管におけるK+吸収機構の一端が明らかとなった。元来、生体を構成する元素ではないセシウムは、カリウムの代謝経路によって体内に取り込まれ、体内で輸送され、さらに体外は排出される。従って、カリウム代謝の詳細が明らかになれば、それはセシウム代謝のメカニズムでもある。今後、さらにカリウム代謝機構の全貌解明を目指すことが肝要であると考えている。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Comparison of egg envelope thickness in teleosts and its relationship to the sites of ZP protein synthesis2017
Author(s)
Sano, K., Kawaguchi, M., Katano, K., Tomita, K., Inokuchi, M., Nagasawa, T., Hiroi, J., Kaneko, T., Katagawa, T., Fujimoto, T., Arai, K., and Yasumasu, S
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Journal Title
J. Exp. Zool. B
Volume: 328
Pages: 240-258
DOI
Peer Reviewed
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