2016 Fiscal Year Annual Research Report
農産物貿易自由化が環境に及ぼす影響の総合研究:農産物貿易交渉力の強化に向けて
Project/Area Number |
26252036
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 康貴 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90191452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
齋藤 久光 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (30540984)
齋藤 陽子 北海道大学, 農学研究院, 講師 (30520796)
近藤 功庸 旭川大学, 経済学部, 教授 (20305874)
増田 清敬 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (20512768)
澤内 大輔 北海道大学, 農学研究院, 講師 (90550450)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 環境分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
メガFTA(自由貿易協定)交渉など、農産物貿易の自由化圧力がより一層強まっている。農産物貿易の自由化は、輸出国と輸入国双方における農業の生産や経済面だけはなく、環境にも影響を及ぼす。環境への影響も、生物多様性喪失などの自然環境だけには留まらない。日本などの輸入国側では輸入拡大・生産縮小に伴う失業問題などの社会不安、さらには、米国などの輸出国側でも、輸出・生産の拡大に伴う不法移民労働の雇用拡大やこれに伴う低賃金や長時間労働の強制などの社会環境にも甚大な影響を及ぼす可能性は注目される。こうした農産物貿易自由化が、自然環境だけはなく社会環境にも及ぼす影響を総合的に実証分析し、日本の農産物貿易交渉力強化に資する基礎的知見を提供することが、本研究の目的である。本研究では、農産物貿易自由化が環境に及ぼす影響を、次の2つの座標から分析する。1つ目は、自然環境への影響と社会環境への影響という軸である。2つ目は、農業生産現場の実態等における影響というミクロ的視点と、このミクロ的視点を踏まえた国全体における影響等というマクロ的視点という軸である。これら2つを軸にし、本研究では、農産物貿易自由化が、輸入国だけではなく、輸出国にも自然環境のみならず社会環境にも影響を及ぼす可能性を、実証的に解明する。 本年度は、農産物貿易自由化が社会環境と自然環境に及ぼす影響のマクロ経済分析を実施した。具体的には、農産物貿易自由化が社会環境と自然環境に及ぼす影響のマクロ経済分析に関連する国内外の学術論文・文献を、電子ジャーナルなどを利用してサーベイし、学会参加なども通じて関連する最新の研究情報を入手した。インドネシア、ベトナムなどで実態調査を実施した。RECP(東アジア地域包括的経済連携)など、複数の自由貿易協定(FTA)を事例にし、貿易自由化が経済と環境に及ぼす影響を応用一般均衡モデルで解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究3年目の平成28年度は、当初の研究計画に沿って、おおむね順調に進展している。具体的には、農産物貿易自由化が社会環境と自然環境に及ぼす影響のマクロ経済分析について、電子ジャーナルなどを活用しつつ、国内外の関連学会の参加なども通じ、既存研究をサーベイできた。インドネシア、ベトナムなどの各国で実態調査を実施し、データ資料を収集できた。研究成果の一部は、国内学会だけではなく、英国・タイ・豪州などの海外学会でも発表した。複数のFTAを事例にし、貿易自由化が経済と環境に及ぼす影響を応用一般均衡モデルで解明した成果や日本の小麦生産における環境負荷の効率性を解明した成果は、英文論文として、国際誌へ掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究4年目の次年度は、本年度は、農産物貿易が社会環境と自然環境へ及ぼす影響についての国民評価の解明を試みる。具体的には、まず、農産物貿易自由化が社会環境と自然環境に及ぼす影響についての国民評価に関して、電子ジャーナルなども活用しつつ、関連学術論文・文献資料の検索整理をする共に、関連学会の参加などを通じて、既存研究をサーベイし、分析実施にかかる論点整理を行う。以上の論点整理を踏まえ、農産物貿易自由化が社会環境と自然環境に及ぼす影響についての国民評価に関して、現地調査の実施、またアンケート調査分析なども含めた計量モデル分析により解明する。本年度の研究成果を取りまとめ、国内外の学会で発表すると共に、本年度分の研究実績報告書をとりまとめる計画である。
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Research Products
(39 results)