2014 Fiscal Year Annual Research Report
小児気管支喘息発症と回虫感染の関係―バングラデシュにおける疫学調査と免疫学的解析
Project/Area Number |
26257507
|
Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
岩田 力 東京家政大学, その他部局等, 教授 (00134578)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 さやか 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20645709)
神馬 征峰 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70196674)
竹内 治子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90114537)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 気管支喘息 / 回虫感染 / 抗回虫IgE抗体 / Th1/Th2 / Treg |
Outline of Annual Research Achievements |
進捗状況:平成26年度には、研究計画書を完成させ、外部査読へ回し、国際下痢性疾患研究所バングラデシュ(icddr,b)のResearch Review Committee(RRC)とEthical Review Committee(ERC)の承認を得、研究協定を締結するところまで進むことを期待したが、平成27年3月31日までには、研究計画書は完成せず、icddr,bの共同研究者との討議の結果当初計画との変更(後述)が生じた。Icddr,bとの討議で実現できたことは、現地におけるフローサイトメトリー検査実施者を確保し、制御性T細胞検査法について、英語によるマニュアルを作成できた。 研究計画の変更:研究計画書の完成、外部査読、RRCとERC の承認、研究協定の締結が平成27年度へずれ込んだ。これに伴い現地調査の開始は2015年8月になることが予測される。当初は2015年時に5歳の小児と、2001年に5歳だった2015年に19歳になる青年を対象者とし、調査を行う予定にしていたが、為替レートの変動によるドル建て予算減少の関係で19歳の青年を対象から外さざるを得なくなった。さらにフローサイトメトリーによるT細胞検査も対象者数を、全例(200例×2)から65例×2群に減らさざるを得ない。また海外研究協力者にも変更があった。カレク・ザマン研究員がぬけ、ショマール・ホーレ研究員が加わった。また当初は、駆虫群、非駆虫群で対比させる予定であったが、現在では非駆虫群はほとんど存在しない状況であり、駆虫の影響の有無については統計解析で対応することになった。免疫学的検査に要する試薬の一部を購入した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れの理由とその対策:海外共同研究者を通してのメールのやり取りでは、icddr,b内のフローサイトメトリー検査の実施者が海外転出すると連絡があり、フローサイトメトリーが実施できなくなる可能性が出現したが、現地を訪れて直接話し合いをしたところ、フローサイトメトリーの研究者にも研究に興味を持ってもらえ、2015年8月以降なら調査に協力してもらえることになった。なお、フローサイトメトリーの機種は、FACSCaliburと説明されていたが、現地を訪問したところFACSDiva ソフトウェアを備えたFACSAria III が使われていることがわかった。よく実施されている検査であることがわかった。 制御性T細胞の検査のための方法が日本語版しか見つからず、プロトコール作成が滞った。最終的には試薬会社の支援を受け、日本語版方法を英訳ソフトで英訳して用いることになった。この問題の解決に1か月半かかった。 調査地区と検査室のあるダッカの距離は約55kmで、交通渋滞が激しい時には片道4時間以上かかることが多い。検体の搬送が大きな課題であったが、早朝(8時)の採血と 、搬送専用車両(研究者も使用可)の確保で解決することとした。 交付内定時の予算削減と為替相場の影響で、予算が大きく減り、研究計画を変更しても、双方の大まかな予算の主張に、100万円程度の隔たりがあり埋まらなかった。フローサイトメトリーの対象者数を130例に減らしたところ、日本で購入する試薬の費用が約150万円減り、フィールド調査に回せるようになった。 研究協力予定者であった日本人大学院生の研究内容の調節に時間がかかり、その影響でプロトコールの完成が先延ばしになってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
<平成27年度の予定> 2015年5月:プロトコールは外部査読に回っている。そのコメントを反映させてプロトコールを修正し、6月のRRCとERCに提出する。6月:RRCとERCの審査を受け承認を受けることが必要である。フローサイトメトリーの予備実験を開始し至適条件を設定する。7月:研究協定を結ぶ。フローサイトメトリーの予備実験を継続する。8~10月:日本で購入予定の試薬を購入する。現地に出向き(竹内)、調査開始にあたり各必要書類を作成し、調査のシステムを築く。調査スタッフを雇用し,横断研究部分のアンケート調査を行い、症例対照研究の参加者を決定する。11月~2016年3月:症例対照研究部分の検体調査を実施する。 <現地調査の実施方法> まず1800人の5歳児にInternational Study of Asthma and Allergies in Childhood (ISAAC)のアンケート調査を行い、喘鳴児、非喘鳴児を同定する。喘鳴児は全例を、非喘鳴児からは喘鳴児と同数を無作為に選んで症例対照研究の対象者とする。対象者にはマトラブ病院へ来院してもらい、午前8時までに血液7ml、便50gの検体を提供してもらう。血液検体2.5mlを自動車にてダッカに正午までに搬送し、そのうち1mlを血算に、1.5mlをフローサイトメトリーに用いる。便検体はマトラブ病院で、寄生虫卵の検査を行う。フローサイトメトリー検査では、FACSAria IIIを用いて、TH1/Th2バランスとTreg細胞の割合を検討する。血清は日本で総IgE、抗回虫IgE、抗ダニIgEの測定と、Th1、Th2、Treg系サイトカインの測定のため、-80℃に保存する。寄生虫卵の検査はKats Kato法で行う。 今年度中は以上の検体収集を行う。
|
Research Products
(1 results)