2015 Fiscal Year Annual Research Report
重篤なアレルギー症状を引き起こす小麦タンパク質の分子構造の解明
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26282018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 伸之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90303908)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アレルギー / 食物 / 植物 / 種子 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物種子は広く食品として利用されているが、種子に含まれるタンパク質はアレルギーの原因物質となることが多い。患者によっては死に至るような重篤なアレルギー症状を示すため、食品の安全性の面からその要因の解明が急務とされている。小麦はパンや麺などとして日常の食生活の重要な素材であるが、主要なアレルゲンの原因物質ともなっている。特に、小麦は3大アレルゲンの一つであり、重要なアレルギー食品となっている。本研究では、小麦の種子タンパク質に対する組換えタンパク質を作成し、アレルギー症状を引き起こす小麦タンパク質を明確にするとともに、その構造を同定することを目的とする。 リコンビナントタンパク質を用いた小麦アレルゲンの比較解析から、小麦タンパク質の中で主要なアレルゲンを同定した。特に、グリアジンの分子種に対して反応性を示す患者が多いことが明らかとなった。エピトープの同定のためにペプチドアレイを作製し、解析条件を検討した。抗体の種類や検出法について条件検討を行い、概ね最適条件を見出すとともに、部分的にデータを取得した。また、小麦タンパク質の構造解析のために新たな発現系の構築についても進め、精製条件を検討した。しかし、発現レベルが低いこともあり、必要量を得るためにスケールアップが必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エピトープ解析については解析条件を確立し、実験計画を遂行する目途が立っている。構造解析については当初の予定よりも遅れているため、実験計画について部分的に再考し、設定した項目についての成果を得られるようにする。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに同定した小麦の主要なアレルゲンについて、ペプチドアレイを用いたエピトープ解析を行い、アレルギー症状に寄与する構造的特徴を見出す。また、得られるデータに基づいた改変タンパク質を作製し、それらの患者血清との解析からアレルゲン性の主な要因となる構造を同定する。また、食品加工に用いるタンパク質修飾を施した小麦タンパク質についても分析を行うことにより、食品加工によるアレルゲン性への寄与についても解析を行う。
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Causes of Carryover |
エピトープ解析について一部次年度に回したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該予算はエピトープ解析用の物品費として使用する。
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Research Products
(1 results)