2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規エピゲノム因子Brd4を介した食習慣蓄積機構の解明
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26282023
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
望月 和樹 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80423838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 敏尚 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (70195923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Brd4 / インスリン抵抗性 / ヒストンアセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Brd4の活性撹乱による生活習慣病の発症機構を検証するために以下の実験を行った。1.通常モデル: C57BL/6Jマウスにフルクトース水を投与すると、肝臓の脂肪合成関連遺伝子(Cyp8b1, Plin5)の発現およびこれら遺伝子の転写領域におけるアセチル化ヒストンおよびBrd4の結合が増大すること、これらは (+)-JQ1を共投与によって低下することが明らかとなった。フルクトース食の3週間摂取によって誘導される肝臓における脂肪合成関連遺伝子の発現が(+)-JQ1の投与によって抑制された。TNF-α投与による3T3-L1脂肪細胞における脂質代謝関連遺伝子の発現低下には、転写領域におけるヒストンアセチル化修飾の低下が関与すること、これらの低下は短鎖および中鎖脂肪酸の投与により改善した。以上により、Brd4は、肝臓において脂肪合成蓄積関連遺伝子の発現の増大を介し脂肪肝を促進させること、脂肪細胞においては転写領域のヒストンアセチル化の低下がインスリン抵抗性を発症させることが明らかとなった。2.Brd4(+/-)マウス: Brd4(+/-)マウスは、脂肪の蓄積能が低いことから肥満誘導性のインスリン抵抗性および脂肪肝を発症しにくいことが明らかとなった。一方でBrd4(+/-)マウスは、脂肪蓄積能が低いために食後高血糖は増大しやすいと考えられた。そこで、高ショ糖・高脂肪食によって誘導した軽度耐糖能異常マウスに繰り返しスクロースを負荷した食後高血糖モデルマウスを作成し、肝臓における糖応答性シグナルに及ぼすBrd4(+/-)マウスでの影響を検討した。その結果、Brd4(+/-)マウスでは、食後高血糖の増大、インスリンの分泌不足による肝臓における解糖系の抑制、糖新生および脂肪合成関連遺伝子の発現が亢進が観察された。これらは、食後高血糖を薬剤(ミグリトール)を投与すると改善される傾向が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Brd4ヘテロ欠損マウスならびにインスリン抵抗性モデル動物の実験によりBrd4の役割が明らかになり、おおむね順調に進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Brd4ヘテロ欠損マウスならびにインスリン抵抗性モデル動物の実験の解析を継続的に行うとともに、Brd4の活性攪乱を反映するバイオマーカーの開発を行う。
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