2014 Fiscal Year Annual Research Report
多点損傷センシングおよびワイヤレス化に対応した小型ひずみ計測センサの開発
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26282097
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
宇都宮 登雄 芝浦工業大学, SIT総合研究所, 教授 (60176708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 淳 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 航空本部, 主任研究員 (40358693)
齋藤 敦史 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (30280994)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 安全システム / 防災 / ヘルスモニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,研究項目(1):静ひずみ計測における誤差原因の検討と計測信頼性の向上 を実施した.今年度試作した,ひずみ測定用と補正用の二つの発振回路を組み込んだ第1段階の小型センサおよび,一つの発振回路を持つ小型センサ(2個)を用いて,回路出力(ひずみ出力)の計測検証試験を行った.これらの検証試験より,発振回路を用いたひずみ計測では,抵抗値の高い350Ω以上のひずみゲージを用いた方が計測精度は向上することを確認した.センサが低抵抗であることは,ディジタル計測システムに組み込む際,消費電力等が問題となることが多いが,高抵抗向けの本方法は将来的には組み込みシステムとしての発展も期待できる.さらに,小型センサにおいても,ダミーゲージを用い,その出力とひずみ計測用のゲージの出力の差分を計測することにより,ひずみによる抵抗変化以外の影響(回路素子の温度変化、環境温度,ノイズなど)を除去でき,出力を安定させることが可能であった.小型センサでは,ダミーゲージで測定された,ひずみによる抵抗変化以外の影響は比較的小さく,発振周波数の一次関数近似の補正法によるひずみは,ブリッジ回路とほぼ同程度の精度で計測が可能であった.ダミーゲージ用の補正回路は,ひずみ計測用のものと同じ環境下に置く(近くに設置する)方がより精度よい計測が可能となった. これらの結果を考慮して,同一センサ内にひずみ計測用に加えダミーゲージ用の回路を有し,またマイコンチップを搭載しデジタル化した出力が可能となる第2段階の小型センサの試作を行った.本小型センサは,マイコンによりひずみのサンプリング時間平均を出力するため,ひずみ出力の周波数を低くできるためワイヤレス化にも適用しやすいと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で,今年度計画した事項について,以下の結果を得ることができた. (1) 試作センサを用いたひずみ計測検証試験を行い,回路素子の温度変化,環境温度,ノイズなどの影響を明らかにできた. (2) ひずみ計測用のゲージに加えてダミーゲージを用いることで,ひずみ出力が安定させることができた. (3) ひずみゲージ抵抗値の補正関数について検討し,発振周波数の一次関数近似の補正法でブリッジ回路とほぼ同程度の精度でひずみ計測が可能となることを確認できた. (4) ひずみ計測検証試験をもとに,同一センサ内にひずみ計測用に加えダミーゲージ用の回路を有し,デジタル化した出力が可能となる第2段階の小型センサを試作することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
試作した第2段階の小型センサを用いたひずみ計測試験を行い,出力の正確さ(精度)を検証する.その後,この試作センサをき裂進展下の損傷センシング試験に適用し,センサによって検出可能な損傷レベルを明らかにする.さらに,本センサによるひずみ計測のサンプリング時間(周波数)の向上のため,レシプロカルカウント法を用いた場合の測定精度について検討を行う.当初の予定では第2段階試作センサをワイヤレス化する予定であったが,ワイヤレス化にはひずみ計測の周波数の低下を図る必要があるため,ひずみ計測周波数の検討の後,ワイヤレス化を施した第2段階センサの再試作(第3段階センサの試作)を行うように変更する.さらに,“振動非接触自動計測システム(Multi-axis Vibration Evaluating System: MaVES)”を用いて,広範囲に振動周波数を変化させた動ひずみの計測試験を行い,動ひずみの計測信頼性(出力の正確さ,ばらつき)に関する検討を行う. 以上の検討結果を総合して,最終的な発振回路小型センサの作製を行う.このセンサに対しても同様の振動周波数を変化させた動ひずみ計測試験を実施し,静ひずみと動ひずみ測定を使用センサで区別するか,センサと計測法の組合せで区別するか といった静ひずみ/動ひずみの測定手法に関する検討を行う.
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Causes of Carryover |
平成27年度では,試作したセンサを用いた損傷センシング試験を計画している.その試験システムを構築するためには,試験片を固定するための「油圧掴み具」が必要である.この「油圧掴み具」を試験実施年度に購入するため,平成26年度未使用額を平成27年度予算と合算し使用することが必要となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度未使用額(2,463,670円)は,「油圧掴み具」の購入,現有疲労試験機に装着するため平成27年度予算と合算して使用し,損傷センシング試験を実施する予定である.
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Research Products
(5 results)