2016 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外領域の陰性吸光度を利用した試薬レス在宅尿成分分析システムの開発
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26282119
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 志信 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40242218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 充洋 帝京大学, 理工学部, 講師 (30322085)
野川 雅道 金沢大学, 機械工学系, 助教 (40292445)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尿成分計測 / 近赤外分光法 / 在宅ヘルスケア / 糖尿病 / 近赤外LED / 光路長可変セル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は実用化に向けての最重要課題である「使用波長数の削減」を行った。具体的には、これまで使用してきた波長数、すなわち750~2200nmの全ての波長数:1050個に対して、まずは1/3程度の削減を試みた。そのために対象成分の濃度増加に対して吸光度が増加する波長だけでなく、逆に吸光度が減少する「陰性吸光度」を示す波長にも着目し、使用する波長を3種類の波長域に絞り込んだ。そしてこれらのデータを用いてPLS解析を行った結果、尿中4成分の測定精度(実測値との相関係数)γ>0.7以上に保ちつつ、使用波長数を236まで削減できることを確認した。さらにこの波長域から他成分の影響等も考慮して10波長を厳選し「総当たり法」による重回帰分析を行った結果、γ>0.7を維持しつつ6波長まで絞り込むことが可能となった(波長データは現状非開示)。 上記解析で用いた各波長の半値幅はFT-IR分光器の波長分解能:1.67nmよりも小さく、波長プロファイルは非常に尖鋭である。一方システム試作に際しては近赤外LEDアレイの使用を想定しており、当該LEDは一般的にブロードなプロファイル、具体的には半値幅にして少なくとも数十nmの広がりを有している。 そこでこの様なブロードな発光特性をもつLEDを光源として用いた場合でも濃度推定可能かどうかを次のような方法で検討した。即ち、FT-IRで得られた透過光強度スペクトルに対して、上記で選定した波長を中心とする重み関数(最大値:1、半値幅:200nmのガウス関数)を乗ずることでLEDを光源とした模擬透過光スペクトルを得た。そしてこれを積分することでLED模擬透過光強度を算出し、そのデータを用いて重回帰分析を行った。その結果γ>0.7を維持しつつ4成分の濃度推定が可能であり、最終年度試作を予定しているマルチLEDシステムが原理的に実現可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実績概要に記載したように、簡易光学式尿成分分析システム具現化に際して最重要課題である「使用波長数の削減」が今年度までの研究により可能となった。具体的には使用波長数を6まで減らしても濃度推定精度(実測値との相関係数:γ)は0.7以上が維持できること、またLEDを光源とした場合でも同様の精度が確保可能であることがシミュレーション結果より示され、最終年度試作を計画している近赤外多波長LEDを光源とたシステムの実現可能性を確認している。 なお測定精度についてはγ>0.9を目指して更なる波長組合せの検討やセル光路長の再検討などを要すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究課題の最終年度として近赤外多波長LEDを用いた光学式の簡易尿成分モニタシステムを構築する。ターゲットとする尿成分については、グルコース、尿素、クレアチニン、NaClの4成分のうち、これまでの一連の実験結果で測定精度が常にγ>0.9と高値を示した尿素を主対象とし、波長数6または4の近赤外多波長LEDを特注製作する。光検出器は近赤外領域(1000~2500nm)に受光感度を有するフォトダイオードを予定しているが、検出感度が十分でない場合にはアバランシェダイオードの適用などを検討する。 フローセル光路長はFT-IR分光器で用いてきた0.5mmを基本に考えているが、低濃度領域の測定精度向上を要するグルコースやクレアチニンについては、必要に応じ前年度購入した可変光路長セルを用いてSN比の良好な至適セル長を検討する。 試作したシステムを用いて、まず各成分について生理的濃度範囲の単一成分水溶液の濃度推定精度を確認する。γ>0.9が得られた成分については、同一条件(波長の組み合わせ、セル光路長)のシステムで成人の随時尿を対象に濃度推定精度を検証する。 一方、γ<0.9となった成分については第1選択肢としてセル長の変更、第2選択肢として波長組合せの変更をそれぞれ検討し、4成分共にγ>0.9となるシステム具現化を目指す。
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Causes of Carryover |
H26年度の研究計画変更に伴い、H27~H29年度の基金分:合計1,500千円(500千円×3)を前倒しして研究を進めた結果、平成26年度内の支出が1,000千円弱で収まったことに端を発し、その繰り越し分でH27年度は光路長可変セルを購入したものの、もともとH27年度及びH28年度に予定されていた基金分がそれぞれ次年度使用額として発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度に試作予定であった「近赤外多波長LED」の特注試作費用、及び当該LED駆動用のドライバ回路特注試作費に充てる。
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Remarks |
研究紹介内容等、見直し改訂中
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Research Products
(5 results)