2015 Fiscal Year Annual Research Report
運動技能習熟強化のための筋疲労の活用とその神経生理学的意義
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26282168
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
丸山 敦夫 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (80117548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山代 幸哉 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (20570782)
塗木 淳夫 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (50336319)
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60544393)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経ネットワーク / 補足運動野 / 後部頭頂葉皮質 / 一次運動野 / 筋疲労 / タイピング学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度研究課題の目的は二連発TMSによる高次運動野とM1の神経ネットワークと筋疲労の関係および筋疲労と運動学習の成績の関係を検討する予定であった。26年度での補足運動野(SMA)、後部頭頂葉皮質(PPC)、腹側運動野前野(PMv)と一次運動野(M1)のそれぞれの連結と筋疲労との関係を実験した。27年度に26年度の結果であるSMA-M1連結抑制および運動野のSICI(short interval intracortical inhibition; 短間隔運動皮質内抑制)およびICF(intracortical facilitation;運動野皮質内促通)と両手グリップ筋疲労について発表した。それを受けて、SMA-M1連結抑制とSICIおよびICFと両手グリップ筋疲労の前後で行う連続的学習のタイピング学習を行わせその成績を筋疲労なしのコントロール群と比較し実験を行った。 その結果、筋疲労あり後にSMA-M1連結抑制の低下とSICI低下が起こり、後半のタイピング成績が有意に高くなった。補足運動野の興奮性が高まり、運動野の抑制性介在神経の興奮性を高めたと推測された。さらにPPC-M1連結促通、運動野SICIおよび感覚求心性抑制(SAI)と筋疲労の関係を実験した。その結果、筋疲労後ではPPC-M1連結促通の増大、運動野SICI低下および感覚求心性抑制の増大という傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主にSMAおよびPPC-M1各連結抑制および促通に係わる各個人の脳MRIによる同定と二つのコイル設定の関係が非常に複雑であり、文献に則って刺激しても同じような結果を引き出す基本的な手法に時間がかかった。日本で行われていない手法なのでその開発に時間がかかった。そのため、予定としていたPMv-M1連結抑制までの実験にまで至らなかった。下肢筋疲労が疲労のない上肢筋に対する神経ネットワークの実験は座位自転車エルゴメータして、二つコイル刺激部位を設定するのが当初考えていたレッグプレスより容易になると考えられる。 また、連続的学習に関しては、比較的容易であったが、予算請求していた適応的学習である筋力フィードバック式装置が高額で購入できなかったため、新たに力量調節用のロボット開発に時間がかかった。そのため至適筋疲労定量化にまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、昨年度で行う予定であった下肢筋疲労が非疲労上肢筋の高次運動野‐一次運動野連結と運動野皮質内抑制(SICI)との関係を検討すると共に、適応的学習における力量調節に対する技能習熟強化のため神経強化を起こす筋疲労の定量化をさらに追加検討する。 今年度の研究目的は、運動技能熟練者にとっての「至適な筋疲労と技能練習」の組合せを開発する.この「至適な筋疲労」とは、筋疲労の負荷強度,負荷時間,回復時間の組合せから有効なSICI低下を引き出す運動負荷を見つけ出すものである。SICI低下が起こらない運動(負荷強度,負荷時間,回復時間)は適切ではない筋疲労としてその限界を検討する.その結果をもとに運動熟練者を対象に至適な筋疲労が適応的および連続的学習の作業成績を向上させるかを検討する. 筋疲労が「器用さ」を要する運動学習に有効かどうかを評価し,筋疲労が運動選手の技能習熟向上に必要な脳の可塑的変化に対する神経生理的意義を明らかにする.
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Research Products
(2 results)