2014 Fiscal Year Annual Research Report
全食品群を対象とした日本版抗酸化能データベースの構築と栄養疫学研究への展開
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26282200
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
渡辺 純 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (10374729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 恵(宇津木恵) 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 栄養疫学研究部, 研究員 (20419998)
竹林 純 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 食品保健機能研究部, 研究員(主任) (30421837)
大久保 孝義 帝京大学, 医学部, 教授 (60344652)
沖 智之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター作物開発利用研究領域, 上席研究員 (60414851)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗酸化能 / 観察型疫学研究 / 食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般住民を対象とした秤量法により収集した食事記録データをもとに、わが国で摂取量が多いと考えられる食品合計140品目を、日本食品成分表の食品群別に選定した。具体的には、穀類13品目、いも及びでんぷん類4品目、砂糖及び甘味類5品目、豆類8品目、種実類6品目、野菜類25品目、果実類18品目、きのこ類4品目、藻類4品目、魚介類8品目、肉類5品目、卵類2品目、乳類5品目、油脂類3品目、菓子類8品目、し好飲料類8品目、調味料及び香辛料類9品目、調理加工食品類5品目である。これらの食品を統一された方法に従い、可食部を縮分、必要に応じて凍結乾燥した後、親油性・親水性抗酸化物質を抽出した。抽出液の抗酸化能をORAC法により測定して、データベースの構築のためのデータを蓄積した。また、データベースから推算される抗酸化能摂取総量と疾病発症リスクの因果関係を見いだすため、大迫コホート縦断研究を継続して実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、1.観察型疫学研究の実施と、2.食品の抗酸化能データベースの構築という2つのアプローチで研究を実施した。1.においては、抗酸化能測定のための食品群別摂取寄与順位の算出と大迫コホート縦断研究の継続実施を計画としており、食事記録データをもとに摂取量が多い食品を食品群別に選び出し、抗酸化能測定の研究者と共有化した。また、縦断研究を継続して実施している。2.においては、入手可能時期が限定される一部の食品を除き、抗酸化能の測定が完了した。また、油脂類、調味料及び香辛料類の一部の食品は統一された方法のままでは前処理が不可能であったが、それらの抗酸化能を測定可能な手法を見いだした。以上より、現在まではおおむね計画通りに研究が進行していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に得られた測定結果をもとに、個々の抗酸化能と摂取頻度から考察して、特に食事全体の抗酸化能に大きく寄与すると考えられる食品を選定する。選定した食品のうち、加工食品では6試料以上を、青果物では、産地・季節が異なる試料(3 地域×4季節)を入手し、抗酸化能の変動を調査する。以上を通じて、抗酸化能データベースの個々のデータの質を向上させる。一方、観察型疫学研究においては、コホート縦断研究を継続するとともに、平成27年度の途中までに蓄積された食品の抗酸化能のデータをもとに、横断的な疫学データにおける疾患リスクと予後との関連について検討を開始する。抗酸化能データベースが食品成分表番号に従って抗酸化能データを蓄積していることから、すでに実施している食事頻度調査にデータを反映させて抗酸化能摂取総量の推計がスムーズに行えると考えている。
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Causes of Carryover |
研究分担者が雇用予定であった研究補助者が、組織上の契約手続き等により雇用が遅れ、計上していた人件費・謝金の執行が計画通りすすまなかった。併せて、キックオフミーティング後に技術的な問題が生じず、メール等での打合せ等により食品の抗酸化能データの蓄積が計画通り進行したことから、旅費の必要額が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度中に研究補助者の雇用ができ、27年度以降は計画通り人件費・謝金の執行を予定している。また、27年度以降は横断的な疫学データにおける疾患リスクと予後との関連について検討を開始する計画のため、研究打合せが必要であり、旅費も計画通りの執行を予定している。
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