2014 Fiscal Year Annual Research Report
中東・北アフリカ地域のイスラーム圏の少数派と弱者に関する総合的研究
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26283001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 英海 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20349228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 尚子 福山市立大学, 都市教養学部, 准教授 (10611361)
近藤 洋平 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20634140)
辻上 奈美江 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30584031)
菊地 達也 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (40383385)
三代川 寛子 上智大学, 付置研究所, 研究員 (90614032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西アジア・中央アジア / 北アフリカ / イスラーム / 少数派 / 弱者 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定どおり、「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」、「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」、「イスラーム世界における異端」の3課題について研究を進めた。 課題①「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」については、高橋および三代川がイスラームとキリスト教の思想的関係やエジプトにおけるコプト教会信徒の間での民族意識の変遷、中東地域の中でも政治的混乱が続くイラク、シリアなどにおけるキリスト教徒の置かれた現状についての研究を進め、その成果の一部を海外での学会等で発表すると同時に、キリスト教をはじめとする中東地域の少数宗教に関する資料収集およびエジプトでの現地調査を行なった。 課題②「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」については、辻上および桑原が「国家におけるジェンダー関係の解明」、「家族法体系と実践に関する文献研究」、「外国人女性とインターセクショナリティ(交差性)に関する研究」の三つのテーマに沿って資料に基づく調査を進めると同時に湾岸諸国での現地調査を行い、国内外の学会および学術雑誌にて成果の一部を発表した。 課題③「イスラーム世界における異端」については近藤および菊池が「前近代北アフリカのイバード派とスンナ派の知的交流についての文献学的研究」、「前近代シリア地域におけるシーア派諸派とスンナ派の交流に関する思想史的研究」の二つのテーマに沿って資料に基づく研究を進めると同時に、チュニジアにおいて現地調査を行い、成果の一部を論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者および分担者が各自ほぼ予定どおりにそれぞれの研究を進め、国内外の学会や学術雑誌、研究書などで成果の一部を発表するなど、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降も、昨年度に引き続き、「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」、「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」、「イスラーム世界における異端」の3課題についてそれぞれの班で研究を進める。 課題①「イスラーム圏における少数派としてのキリスト教およびその他の宗教」については、前年度に行なった研究成果を踏まえてシリア正教会、コプト教会等におけるイスラーム思想の受容についての研究を進めると同時に、前年度に入手した資料を用いて宗教的少数派の状況の分析作業を行う。 課題②「イスラーム圏における伝統的弱者としての女性」については、サウジアラビア、アラブ首長国連邦等での現地調査を行い、中東地域の国家におけるジェンダー関係の解明、家族法体系と実践に関する文献研究、外国人女性とインターセクショナリティ(交差性)に関する研究を継続して進める。 課題③「イスラーム世界における少数派ムスリムおよび異端の活動」については、近現代北アフリカのイバード派知識人によるスンナ派理解に関する文献学的研究および近現代の歴史的シリア地方におけるアラウィー派、ドゥルーズ派と他宗派との関係の究明を進めると同時に、レバノンにおけるイスラーム少数派の活動についての現地調査を行う。 また、これまでの研究成果をまとめると同時に、中東地域在住の研究者との意見交換を行うために、平成27年度中にレバノンで小規模なシンポジウムを開催する。
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Causes of Carryover |
海外から取寄せを予定していた書籍の到着が遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
取寄せを予定していた書籍を購入する。
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Research Products
(38 results)