2018 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂発生地域における表層土壌回復のための社会的経済的アプローチ
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26283008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
深尾 葉子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (20193815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 謙 大阪大学, 総合学術博物館, 特任講師(常勤) (00619281)
安冨 歩 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20239768)
山本 健太郎 西日本工業大学, 工学部, 准教授 (40305157)
北島 宣 京都大学, 農学研究科, 名誉教授 (70135549) [Withdrawn]
宇山 浩 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70203594)
中澤 慶久 大阪大学, 工学研究科, 特任教授(常勤) (70575414)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 黄土高原 / 河西回廊 / オルドス / 砂漠化 / 黄砂 / ゴビ / バイオクラスト / シアノバクテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は例年と同じく8月に現地調査を行った。これまで本科研では主として黄土高原およびオルドス、内モンゴルアラシャン一帯の地表面植生とそれを作り出す人間活動の変化について調査を行ってきたが、本年はさらに西に足を延ばし、甘粛省から新疆ウイグル自治区にぬける河西回廊に沿って移動し、同地域の砂漠化と耕地化、土地利用の変遷を大づかみに知ることを目的とした。 蘭州を出発し、河西回廊を西に進み、シルクロードの重要拠点であった武威、張掖、酒泉を経て、観光地化された嘉峪関一帯を概観。夕刻、敦煌を通過し、粛北とよばれるモンゴル族自治県へと向かった。そこで遊牧地域の現状と、水源である氷河が急激に縮小していることを観察。モンゴル族自治県における遊牧環境の保持、生態系保護の難しさを観察。その後砂漠地帯を通り、広大なゴビと呼ばれる砂漠地帯と風力発電基地が林立するエネルギー生産地、瓜州と呼ばれるハミ瓜の生産基地、灼熱のトルファンなどを通過してウルムチに到着。これまで黄砂発生の重要な地域の一つとされていた地域を駆け足でとおりぬける。 河西回廊はエネルギー基地として数万基に及ぶ風力発電装置が設置されており、耕地化圧力は軽減しているものの、同地は渡り鳥の飛行ルートでもあり、大量の風力発電装置の設置に生態系への影響が懸念される。また、黄砂はいわゆる砂漠地帯からの飛散ではなく、耕地化された場所や地表面状態の悪化した元草原といった場所からであると言われているが、実際にゴビと呼ばれる草原の劣化した荒れ地や、エネルギー開発の現状を目の当たりにし、黄砂のシーズンではなかったものの、実感をともなってそのイメージを描くことができた。旅に参加した農学研究者である北島、薬学研究者であり遺跡や化石にも詳しい伊藤らとともに、黄土高原、オルドス、ゴビにおける土壌表面への人為的攪乱の歴史を現地で現場を見ながら議論を重ねることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年、研究代表者が大学内の部局を移籍し、研究室の移転、新たな授業負担、学内のプロジェクトの開始等に追われ、本科研研究のとりまとめ作業を十分に行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
科研の研究期間を一年延長し、これまでの成果をとりまとめるとともに、公表にむけてメンバーと連絡をとりあいながら、何らかの出版物として世に問う作業を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、最終年に行う予定であった成果公表の作業がはかどらず、次年度に繰り越して行うこととなったため。出版にむけての打ち合わせや成果の公表に必要な作業に経費を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)