2016 Fiscal Year Annual Research Report
日本軍「慰安婦」制度と米軍の性売買政策・性暴力の比較研究
Project/Area Number |
26283014
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
林 博史 関東学院大学, 経済学部, 教授 (80180975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野沢 あかね 立教大学, 文学部, 教授 (00276700)
吉見 義明 中央大学, 商学部, 教授 (40102884)
兼子 歩 明治大学, 政治経済学部, 講師 (80464692)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジェンダー / 性暴力 / 性売買 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本軍「慰安婦」制度と米軍の性売買政策・性暴力の比較研究をおこなうことを目的としている。日本軍「慰安婦」制度と公娼制との関連の分析、米軍の性売買政策と米国の政策との関連の分析、ならびに日本と米国の性売買に対する思想と政策の比較分析をおこなうが、同時に、さらに広く世界史的な視野でとらえることによって、日本軍「慰安婦」制度と米軍の性売買政策・性暴力を比較し、それらの特徴を明らかにすることを目的としている。 2016年度は、米国とイギリスにおいて、引き続き軍と性に関わる史料収集をおこなった。ジュネーブの国連文書館において、国際連盟時代の婦女売買禁止に関わる諸国の史料も収集し、国際的な比較をさらに広げるうえで貴重な史料を収集できた。韓国においては元日本軍「慰安婦」の方々への聞き取り調査を引き続き行い、中国南京の慰安所についての現地調査もおこなった。日本国内での公娼制についての史料も継続して収集している。 2017年3月には、国内外での史料調査ならびに研究の集約とさらなる展開を目指してドイツにおいてワークショップと現地調査をおこなった。ドイツ国防軍の売春宿や強制収容所における売春宿、ドイツ軍のセクシャリティに関する研究者らの研究報告と議論を通じて、国際比較をおこなううえでの重要な視点と視野を得ることができた。またノイエンガメとラーベンスブリュック強制収容所を訪問し、そこでの囚人用売春宿の最新の研究成果を得ることができた。また韓国の研究者を日本に招請して研究会を開催し、韓国における最新の研究動向を把握することができた。 以上のような調査研究を通じて、本共同研究を順調に進めることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外における資料調査により多くの重要な史料を収集することができた。またドイツにおいてワークショップをおこない、軍隊と性に関するドイツの研究者との交流・意見交換をおこない、日本軍「慰安婦」制度の国際比較をおこなううえで大いに参考になった。また韓国の研究者を招いての研究会も開催し、日本軍「慰安婦」制度が韓国軍に及ぼした影響についても韓国における最新の研究成果を得られた。こうしたことから、本共同研究の最終年度に向けて、順調に調査研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度においても引き続き、米国や韓国、国内などでの史料調査をおこなう。日米以外の国々の軍隊と性に関わる文献史料の収集も継続する。 同時に、本研究の成果をまとめるためにも、韓国において、韓国の研究者らと共同でワークショップを開催し、本共同研究の成果を整理発表するとともに韓国の最新の研究成果や米軍と性に関わる最新の状況を把握することを計画している。同時に、韓国の「基地村」(米軍基地周辺に発達した歓楽街)の現地調査もおこない、関係者からの聞き取り調査もおこなう計画である。 また今年度は本共同研究の最終年度であるので、史料調査の成果を集約し、それらの史料分析を通じて明らかにできたことを研究会を通じて整理しまとめる作業をおこなっていく。また本研究を通じて、ドイツや韓国など海外の研究者とのネットワークも作ることができつつあるので、今後どのようにしてこの研究をさらに発展させていくのかについても議論を進め、新しい共同研究をおこなう基礎していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者である林博史が、サバティカルのために2016年8月末までロンドンに滞在しており、英国その他での調査のための旅費が不要あるいは軽減されたこと、2017年3月にドイツ等での調査とワークショップをおこなったのちの帰国が3月末になったために旅費支払いが年度内に間に合わなかったこと、が理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
韓国におけるワークショップ開催と現地調査のための諸費用にあてることを予定している。
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Research Products
(10 results)