2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26283017
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小口 孝司 立教大学, 現代心理学部, 教授 (70221851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 靖雄 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60302535)
山口 一美 文教大学, 国際学部, 教授 (60383220)
荒川 雅志 琉球大学, 観光産業科学部, 教授 (70423738)
浦川 邦夫 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90452482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 観光 / 心理学 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
1.メンタルヘルスツーリズムの実地調査 【小口・山口・荒川】 心を癒すことを目的とするさまざまな施設が近年、誕生してきている。そうした施設のうち、長野県長野市の水輪、山梨県の健康農園ホテルフフ山梨、海外ではタイのチバソムなどを視察した。こうした地域を視察して、実際にどのような事業が展開されており、今後どのように発展していく計画なのか、問題点は何かなどについて事業者にヒアリング調査を行った。同時にメンタルヘルスツーリズムの導入を検討している企業に対してヒアリング調査を実施した。 2.メンタルヘルスツーリズムの文献研究 【小口・大江・山口・荒川・浦川】 海外においては、ヘルスツーリズムは広く展開されているが、特にメンタルなものに焦点を当てたものは見つけられていない。しかしいくつかのツアーにおいては、メンタルな面での効用を強く打ち出しているものが散見される。そこで、資料や論文を探索し、メンタルヘルスツーリズムに類した効用をもたらしているツーリズムに関しての情報を得た。さらにメンタルヘルスツーリズムに関する一般の文献の収集も行った。特に、【浦川】はメンタルヘルスツーリズムの導入により期待される経済効果を推計するため、関連する文献、資料を収集し、その影響を検討した。 3.実証研究 【小口・山口・荒川】 本年度は既存のツーリズム関連の施設の視察や文献研究のみに充てる予定であったが、幸いにも実際のメンタルヘルスツーリズムに関連する宿泊施設、ならびに企業の協力を得て、実証研究を行うことができた。また【浦川】は経済効果の検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、本年度は2年目以降の実証研究に向けて、基礎の固めをする年次と位置づけ、資料の収集や実地調査を行うのみの予定であった。しかしながら、幸運にも実際の企業ならびに宿泊施設の協力を得て、実証研究も行うことができた。この研究結果は、1年目にその一部が学会誌論文として掲載されたのみならず、2年目に海外の国際学会での口頭発表が審査の上認められた。さらに、実証研究についてはその一部が、現在国際誌に投稿中である。以上述べたように、予定以上の研究実施ならびに研究業績が得られていることから、本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.心理的効果の検証 【小口・大江・山口・荒川】 休暇、特にツーリズムを用いた休暇を積極的に活用して、社員の活力を高めている企業へのヒアリングを行う。現在ヒアリング企業の選定ならびに依頼中である。実務担当者から、具体的な休暇制度、その効果、今後の展開などについて伺う。可能なら従業員からの直接的な意見も伺いたい。さらに、ヒアリングを行う企業の中から、調査目的に賛同してくださる企業を対象にして、休暇、特にメンタルヘルスツーリズムの効果を検証する実証研究を、次年度後半以降から最終年度にかけて実施していきたい。 2.インターネット調査 【小口・山口】 特定企業によらず一般の社会人を対象にしたインターネット調査を実施する。休暇の前、直後、一定期間後の3時点のパネル調査を行い、特に長期休日の過ごし方、さらにメンタルヘルスツーリズムに関連する要素を取り入れている度合いを把握し、その数値と個人ごとの心理状態(幸福感、うつ状態、自己評価など)との関連を共分散構造分析によって探り、モデル化する。その際に、量的なアプローチ以外の枠組みからも接近するため、自由記述の回答から、テキストマイニングの手法によって心理的な構造を探る。さらにどのような休暇での過ごし方が休暇によるポジティブな効果を持続させるのかを検討する。 3.ツアーの効果測定 【荒川】 旅行会社にご協力いただき、メンタルヘルスツーリズムに非常に関わると思われる特定のツアーに参加し、調査協力に応じてくれる方を対象に、ツアーの効果測定を行う。 4.メンタルヘルスツーリズム実施地域の調査 【小口・大江・山口・荒川】 初年度に引き続き、メンタルヘルスツーリズムを実施している地域の視察、ならびにヒアリング調査を行う。 5.経済効果の検討 【浦川】 初年度に検討した以外のパラメーターを設定するなどして経済効果の検証をさらに行う。
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Causes of Carryover |
3月の年度会計の締め切り後に、沖縄での現地視察を計画していたため、次年度使用額が生じた。(年度のまとめの会議を沖縄の視察と兼ねて実施する予定であったが、そちらは東京で半日かけて実施した。)さらに研究代表者、研究分担者の方が個別に進めている研究がさまざまな理由から、当初予算ほどかからなかったため、それらを次年度以降に回したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月の沖縄での現地視察は、研究を一緒に進めてくださっている方々が、3日間合う日にちがなく断念した。そのため、日を改め、次年度の6月に実施する予定である。その際に、初年度に執行する予定であった予算を合わせて使う計画である。また研究分担者の研究においては、初年度に余剰が出た予算を使って、2年目以降の研究計画を膨らませていく方針である。
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Research Products
(16 results)