2014 Fiscal Year Annual Research Report
データ駆動型統計的観光科学の確立とその有効性の実証
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26283019
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
津田 博史 同志社大学, 理工学部, 教授 (90450163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 雅和 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (00462169)
片桐 英樹 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40325147)
蓮池 隆 早稲田大学, 情報科学研究科, 准教授 (50557949)
一藤 裕 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構, 新領域融合研究センター, 融合プロジェクト特任研究員 (90590274)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 観光科学 / ホテル稼働率 / 経済規模 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の実績報告は、次の通りである。1.京都市内の宿泊施設(経済規模への寄与が高いと考えられる総客室数50客室以上の91ホテル、京都市内で予約可能な客室数全体の87.8%のカバー率である。)の宿泊プランの空室数と価格のデータを用いて、京都市内の宿泊施設の客室稼働率を日次で推定することを試みた。京都市の分析期間はデータが取得できた2011年11月1日~2014年10月31日までの3年間である。推定した客室稼働率から季節変動や曜日効果などを見出したと共に、京都駅からの距離や宿泊施設の規模などで宿泊施設を分類することにより、客室稼働率に関して新しい知見が得られた。2.全客室の販売平均価格を示した「平均客室単価」という指標を導入することにより、客室タイプ内で購入されたホテルプランが未知であってもホテルの売上高を算出することが可能となる。推定した日次稼働率と平均客室単価を用いて、経済規模を算出した。京都市全体のホテル業界の経済規模、および、曜日効果や季節変動などの時間的な変動を把握することができた。特に土曜日や連休初日の経済規模の拡大、また、4月の上旬や11月の中旬に経済規模が極大になることが金額で把握できることから、これまで日次で把握されたことがないホテル市場の経済規模の時間的推移に関して新しい知見が得られた。3.移動手段として今後普及が見込まれ、グリーンツーリズムの観点から重要な電気自動車をとりいれた観光経路設計を行った。電気自動車の移動には、電気残量や充電スタンド場所の問題があり、制約条件が多くなるが、既存のアルゴリズムを改良して、上記問題にも適用可能となったことが成果である。また、観光経路設計において観光地満足度を設定する困難さを解消するため、満足度ではなく、優先順位ごとのグルーピングを行い、よりユーザフレンドリな観光経路設計システムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したスケジュールに応じて、平成26年5月に研究キックオフ会議を行い、京都市観光政策を管轄されている方々に対して研究内容の説明を実施した。以後、データ駆動型統計的観光科学に関する研究集会を平成26年8月に東京(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構統計数理研究所)、平成26年12月に京都(同志社大学京田辺キャンパス)と3カ月~4カ月に1度の頻度で、実施し、研究進捗を管理してきた。平成27年3月には、京都市において第1回観光イノベーション・シンポジウムの企画、実施した。京都市の観光政策、交通政策をご担当されている方々、京都市ホテル協会のメンバーの主たるホテル関係者の方々がシンポジウムに出席されるなど成功を収めた。また、平成27年度から分析開始の予定であった大阪府、兵庫県内の宿泊施設(経済規模への寄与が高いと考えられる総客室数50客室以上の大阪府は306ホテル、兵庫県は155ホテル)の宿泊プランの空室数と価格のデータを用いて、宿泊施設の客室稼働率と経済規模を日次で推定することを試みた.対象期間は、大阪府では平成26年7月18日~平成26年9月30日、兵庫県は平成26年7月16日~平成26年9月30日である。
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Strategy for Future Research Activity |
京都市内のホテル稼働率推定の精度をより一層向上させる。また、財務面からのホテル事業経営分析を行う。その方策として、分析対象のホテルの一部が株式市場に上場していることから、有価証券報告書などからより詳細な情報を得ることができる。大阪府、兵庫県の地域に関して1年以上のホテル稼働率の推定を行い、季節変動などを可視化する。大阪府、兵庫県など他の地域に関してホテルプラン価格の推定を行う。大阪府、兵庫県などの地域に関して推定したホテル稼働率とプラン価格から、それぞれのホテルの売上高を推定し、その地域のホテルの経済規模、および、時間的な変動を把握する。さらに、大阪、京都、兵庫の間のホテル市場の経済規模を比較し、地域間格差の要因などを分析していく。ホテルプラン価格モデルに関して高度化を図る。開発したユーザフレンドリな観光経路設計システムを京都市などに説明し、実社会で役立つようにするため、実際への応用可能な観光経路設計システムへと高度化を図る。データ量の増大により分析スピードの速く、記憶容量が大きいパソコン、ワークステーションの購入することで、分析スピードを向上させる。
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Causes of Carryover |
データ量の増大により演算スピードの速く、記憶容量が大きいパソコン、ワークステーションの購入、分析ソフトの購入が必要である。研究成果を発表するため各種学会で、研究の報告を行う上での参加費、旅費が必要である。また、共同研究を進めるため共同研究メンバーが研究打合せをする際に旅費が必要である。データベースの整理、プログラム作成する上での謝金が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
演算スピードが速く、記憶容量が大きいパソコン、ワークステーション、および、分析ソフトの購入する。研究成果を発表するため各種学会で、研究の報告を行う上での参加費、旅費に使用する。また、共同研究を進めるため共同研究メンバーが研究打合せをする際の旅費に使用する。データベースの整理、プログラム作成する上での謝金に使用する。
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Research Products
(10 results)