2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国新出土文献の思想史的研究─戦国簡・秦簡・漢簡─
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26284009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
湯浅 邦弘 大阪大学, 文学研究科, 教授 (30182661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 洋子 福山大学, 人間文化学部, 講師 (00709347)
竹田 健二 島根大学, 教育学部, 教授 (10197303)
中村 未来 大阪大学, 文学研究科, 助教 (50709532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国哲学 / 出土文献 / 竹簡 / 上博楚簡 / 北京大学竹簡 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究成果としては、次の三点をあげることができる。 (1)中国出土文献の釈読・研究を推進した。『上海博物館蔵戦国楚竹書』の別冊や『北京大学蔵西漢竹書』の刊行が予定より遅れているため、既刊分のうち、上博楚簡『陳公治兵』『舉治王天下』など、まだ研究論文が発表されていない文献について集中的に検討を進めた。『舉治王天下』については、研究代表者の湯浅邦弘の論文(中国語)が中国の武漢大学簡帛中心の研究誌『簡帛』に採択され、掲載されるなど、大きな成果を上げた。 (2)海外学術調査を行った。平成25年に香港中文大学文物館を訪問した際、同館所蔵の漢代簡牘の一部が甘粛省出土である可能性をうかがった。そこで、甘粛省での簡牘調査の必要性を強く感じ、平成26年9月、研究メンバー全員で、甘粛省蘭州に赴き、甘粛省博物館、甘粛省文物考古研究所・甘粛簡牘博物館などにおいて簡牘資料の調査を実施するとともに、現地研究者と交流して情報交換を行った。大量の出土簡帛を実見し、多くの知見を得ることができた。 (3)研究成果を積極的に公開した。初年度ではあるが、研究代表者の湯浅邦弘が『竹簡学─中国古代思想の探究─』(大阪大学出版会)、分担者の竹田健二が『先秦思想與出土文獻研究』(台湾・花木蘭文化出版社)を刊行するなど、多数の研究論著を発表した。特に竹田の著書は中国語で刊行されたものであり、我々研究グループの研究成果を中国語圏に公表できたという点で、大きな意義があった。 なお、この間の研究成果が認められ、日本学術振興会の「科研費NEWS」(2014年VOL.1)に、湯浅邦弘「よみがえる中国古代思想─竹簡学の誕生─」という研究概要報告が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『上海博物館蔵戦国楚竹書』の別冊や『北京大学蔵西漢竹書』の刊行が予定より遅れ、平成26年度中に刊行されなかったため、当初予定していた対象文献の釈読を充分に進めることができなかった。この点は、想定外であった。 しかし一方で、当初は予定していなかった甘粛省での簡牘調査を実施することができ、貴重な情報を得ることができた。また、研究代表者の湯浅邦弘が『竹簡学─中国古代思想の探究─』(大阪大学出版会)、分担者の竹田健二が『先秦思想與出土文獻研究』(台湾・花木蘭文化出版社)を刊行するなど、多数の研究論著を発表し、初年度としてはきわめて順調なスタートを切ることができた。 また、それを裏付けるものとして、日本学術振興会の「科研費NEWS」(2014年VOL.1)に、湯浅邦弘「よみがえる中国古代思想─竹簡学の誕生─」という研究概要報告が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、『北京大学蔵西漢竹書』の刊行が予定されている。すでに具体的な収録文献名もあがっているので、公開は確実であると思われる。そこで、この北京大学竹簡を中心に出土文献の釈読を分担して進めたい。 また、本年度も、海外学術調査を実施したい。現時点で予定しているのは、北京大学の訪問と竹簡の実見である。 平成26年度に見られたように、出土文献の公開は必ずしも予定通りにはいかない場合があるので、その都度、柔軟に対応しながら、積極的に研究を推進していきたい。
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Causes of Carryover |
予定されていた『上海博物館蔵戦国楚竹書』の刊行が遅れ、これに対応するはずだった国内会合旅費、および書籍購入費を抑えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、平成27年に刊行が決定している『清華大学蔵戦国竹簡』および『北京大学蔵西漢竹書』に対応するための国内会合旅費、および書籍購入代金に充当する。
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Research Products
(14 results)