2015 Fiscal Year Annual Research Report
コンテンポラリーダンスのワークショップと即興の分析による舞踊美学の再構築
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26284022
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
貫 成人 専修大学, 文学部, 教授 (80208272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
副島 博彦 立教大学, 文学部, 教授 (30154694)
川島 京子 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (10409732)
渡沼 玲史 一橋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助手 (50419751)
尼ケ崎 彬 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (70143344)
石渕 聡 大東文化大学, 文学部, 准教授 (80308155)
荒谷 京 (島津京) 専修大学, 文学部, 准教授 (80401496)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンテンポラリーダンス / 舞踊美学 / 舞踊史 / ワークショップ / 即興 / コミュニティダンス / 身体論 / 現象学 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンテンポラリーダンスの制作・訓練・普及にとって重要なワークショップと即興について、(1)その多様な手法を調査し、(2)歴史的理論的見通しをえ、さらに (3)実演を基盤とする舞踊美学、(4)実践的ワークショップ手法を構築することが、本研究の目的である。 昨年度は、貫がドイツ、ヒルデスハイム大学における舞踏ワークショップ、石渕がフランス、トゥールーズ市盆踊り制作を実施調査し、副島がヴッパタール舞踊団、岡見がローザンヌコンクール、川島がパリ・オペラ座バレエ教師クロード・ガンバなどの調査を、尼ヶ崎が国内作家インタビューを、渡沼が秋吉台国際芸術家村におけるワークショップ調査を、丹羽が写真のワークショップ技法を参加調査した。また、近代芸術を越えた視点を確保するため、橋本裕之氏による講演と議論をおこない、岩手県普代村黒鳥神楽実地調査を尼ヶ崎、貫、副島、丹羽、岡見、川島、渡沼がおこなった。ダンサーの近藤良平氏とフリージャズの近藤等則氏による完全即興公演を公開で実施した。舞踊研究者を招いた研究集会を随時おこない、石渕、島津、渡沼、岡見がアンケート技法の検討をおこなった。 また、貫は稽古における身体などにかんする現象学的分析、日欧都市における文化構造、尼ヶ崎は、舞踊に関する美学的分析、副島は文化史的分析、石渕は舞踊とリズムに関する実践的理論的研究、渡沼は振付の研究、川島はバレエ史やに関する研究をおこなった。また、丹羽は写真の研究によって、比較分析の素材を提供した。 そのなかで、たとえば、身体動作原理の多様性、稽古場における権力形成メカニズム、即興における「フロー体験」、技法習得や作品制作における言葉の機能、日欧都市における文化構造などがあきらかになった。その成果は、平成28年度の調査による材料収集・分析をくわえた上で、報告書に発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度途中から昨年度秋まで研究代表者貫が長期在外研究に出たため、当初予定していた共同調査や研究集会などは、いくつか時期をずらす必要が生じたが、逆に、海外で長期の調査をおこなうことができたために、当初の想定を超えた調査をおこない、多くの素材や調査結果、分析を得ることができた。また、その間、共同研究者達の独自の調査を蓄積し、交換することによって、当初の研究計画で想定したとおりの進捗を実現することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は,上記の成果をふまえつつ、以下の作業をおこなう。 ①国内外作家によるワークショップ、即興に関する調査分析事例を、他ジャンルにも渡ってさらに収集する。そのため謝金、旅費などが必要である。②国内外専門家によるシンポジウム、ワークショップ、即興公演を内容とした研究集会をおこない、専門家と知見を交換・公開する。そのための謝金、旅費、人件費などが必要である。③哲学や美学、歴史社会学、文化史などの研究に基づきつつ、コンテンポラリーダンスにおける身体と技法の分析し、歴史的地理的理論的文脈に位置づける。また、具体的分析にもとづく美学理論を再検討・再構築し、適宜、研究集会で検討する。そのための人件費、旅費が必要である。④実効性のあるワークショッププログラムを構築する。そのために人件費、謝金が必要である。⑤その成果は、研究代表者、分担者、研究協力者などの論文や、その間蓄積された映像資料などとともにDVDの研究報告書として公開し、あわせて日英語によるHPも随時、更新する。DVD製作費、HP維持・管理・更新費用が必要である。 なお、招聘専門家としては、現在のところ、フランスやドイツなどから計三件、国内からも最低三件が予定され、調整中である。研究計画を実効的に実施するためには、ワーキンググループや諸企画を機動的に再編成し続けなければならないが、そのために、代表者・分担者・協力者によるミーティングなども、随時おこなう。
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Causes of Carryover |
当初、平成27年度中に国際研究集会などを実施する予定であったが、招聘予定者とのスケジュール調整が不調に終わり、予定していた国際研究集会を平成28年度に延期しなければならなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に予定していた国際研究集会を実施する。
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