2015 Fiscal Year Annual Research Report
マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力
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26284043
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
下河辺 美知子 成蹊大学, 文学部, 教授 (20171001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 孝之 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30155098)
舌津 智之 立教大学, 文学部, 教授 (40262216)
日比野 啓 成蹊大学, 文学部, 准教授 (40302830)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 惑星的想像力 / マニフェスト・デスティニー / 情動 / モンロー・ドクトリン / 環太平洋 / 環大西洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
四年間のプロジェクト二年目である平成27年度は、本プロジェクトにおいて主要テーマの一つである惑星的想像力について、グローバルな視点から見直す作業を行った。昨年は、19世紀アメリカの領土拡張主義スローガン、「明白なる運命」の本質をさぐるために、アメリカ19世紀歴史の文脈と情動という概念の両面からの研究をおこなったが、本年度はアメリカの位置を地球規模で見直す方向の研究を行った。 2015年6月に慶應義塾大学で開催したTenth International Melville Conferenceは、海外からの研究者100名以上を迎え、日本のメルヴィル研究者とともに4日間にわたり活発な交流を行った。 平成27年度に本プロジェクト主催で行った研究会および個人の研究活動は以下の通りである。 ①研究発表「メルヴィルのオリエンタリズム:『白鯨』の描く異教の世界」於慶應義塾大学 2015年5月19日:講師 斎木郁乃 ② 講演 “ Form and Formlessness in Moby Dick”於慶應義塾大学 2015年6 月10日:講師 Samuel Otter (U.C. Berkeley) ③基調発表&ワークショップ「エマソン言説の“character”が指示する超越する身体性/大陸性」於成蹊大学 2015年10月26日 講師:佐久間みかよ 発表:板垣真任、渡邉藍衣、細野香里 ④ 研究発表「重ね書きのパレスチナと情動:ハーマン・メルヴィル『クラレル』を中心に」於成蹊大学2016年3月6日 講師:貞廣真紀。その他、研究代表者、研究分担者は各自「惑星的想像力」と「明白なる運命」の関係を歴史的にたどると同時に、それがアメリカ国民の情動を操作するナラティブとしていかに機能してきたかに焦点をあてている。研究代表者、研究分担者四名の業績は、著書2点、論文5点、学会発表10回(招待講演を含む)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目にあたる平成27年度は「惑星的想像力」とその情動的背景を分析するという大枠の目標が定められていた。まず情動についての先行研究を概観した上で、アメリカ国家の外交政策を検証するために使える情動研究の方法を探った。「明白なる運命」のレトリックが生み出された社会的・政治的・文化的経緯をつきとめ、それがナラティヴとして19世紀から21世紀のアメリカで変奏されていく歴史的経緯を明らかにするという目的については、情動をテーマとする別の科研プロジェクトを行っている研究者との研究会を催して、情動の文化史的意味を構築中である。研究代表者および3人の研究分担者は、2010年4月~2014年3月の四年間でおこなった基盤(B)「モンロー・ドクトリンの行為遂行的効果と21世紀グローバル・コミュニティの未来」の成果本(『モンロー・ドクトリンの半球分割:トランスナショナル時代の地政学』)に各々論文を寄稿した。このプロジェクトは、本プロジェクト(「マニフェスト・デスティニー」)の基盤となるもので、成果本が本年6月に出版される運びとなったのは、現在進行中の本プロジェクトにとって大きな実績となる。また、四名の共同研究者は、各々、国内外での研究発表やシンポジウムでの発表を精力的におこなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は「マニフェスト・デスティニー」のレトリックに「情動」という概念がどのように関係するかに焦点をあてていく。「情動」というテーマが21世紀グローバリゼーションの運動の中においてどのような意味を持ち、それが西半球という空間に位置することを宣言した19世紀アメリカのレトリックとどのようにつながっているかを検証する。南北アメリカ大陸を環大西洋・環太平洋文化圏に置くことによる地理的想像力についてリサーチを進め、南北アメリカ大陸を、対ヨーロッパとの関係(環大西洋的連環)および対オセアニア・アジアとの関係(環太平洋的連環)の二つの空間に置き、「明白なる運命」の持つ情動的機能をさぐる。 研究代表者および三人の研究分担者による個人ベースの研究と、研究会・学会発表やシンポジウムの開催を通じての研究成果共有を行う予定。下河辺は9月締め切りのアメリカ学会英文号特集号(特集テーマ:America and the World)に英語論文を、12月締め切りの成蹊大学アジア太平洋研究センタープロジェクト(「アメリカにおける労働の表象」)に日本語論文を寄稿の予定。巽は、日本ナサニエル・ホーソーン協会第 35回年次大会( 2016年 5月 27日、於・同志社大学)で特別講演「捕鯨都市セイラムーーピューリタン文学の起源」を、国際江戸川乱歩シンポジウム( 2016年 10月 14-15日、パリ・ディドロ大学&パリ・日本文化会館)で招待発表 "The Task of the Crowd: Poe, Rampo, Kasai"を行う予定。舌津は、日本T・S・エリオット協会機関誌に、大西洋(英米)と惑星間(地球と火星)を横断する詩人の想像力についての論文を寄稿するよてい。その他、4人のメンバーがそれぞれ海外の研究機関、アーカイヴへ資料調査に出張する。
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Causes of Carryover |
平成27年度の最後の時期(平成28年3月)に、下河辺はニューヨークへの海外出張を予定していた。しかし、2010年度から4年に渡って行ってきた基盤(B)「モンロー・ドクトリンの行為遂行的効果と21世紀グローバル・コミュニティの未来」の成果本の最終段階にきて11名の執筆者の原稿を編集し入稿する仕事に時間をとるべきであると判断し、出張を延期した。成果本『モンロー・ドクトリンの半球分割:トランスナショナル時代の地政学』(彩流社)は2016年6月出版できることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
下河辺の研究は「マニフェスト・デスティニーと惑星的想像力の関係」をアメリカ文化の中でさぐることであるため、本年度は海外の学会(MLA @ Dusseldorf 2016年6月)へ参加し、また、ロンドンのBritish Libraryでの調査(2016年9月)を予定している。昨年度予算で使わなかった研究費はここで使用する予定である。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] The Transpacific Imagination2015
Author(s)
巽孝之
Organizer
Center for Japanese Studies,Colloquium, "The Transpacific Imagination"
Place of Presentation
University of California, Berkeley
Year and Date
2015-11-04
Int'l Joint Research / Invited
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