2018 Fiscal Year Annual Research Report
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26284092
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉田 ゆり子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50196888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多和田 雅保 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (10528392)
吉田 伸之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (40092374)
羽田 真也 飯田市歴史研究所, 研究部, 研究員 (40757837)
樋口 貴彦 東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (50568631)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 山里 / 南信濃 / 日本近世史 / 森林資源 / 地域社会 / 中馬 / 榑木 / 社会集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度に引き続き、A遠山、B大河原・鹿塩、C飯田・上飯田、D和合・浪合・平谷、E清内路、の5つの地域を対象として、森林資源と地域の人びとの営みが密接不可分な形で進行してきた歴史を、モノ・社会集団・地域という3つの要素に注目し、これらの要素をクロスさせることで、全体的、かつ相互の有機的関係を考慮に入れた地域社会像を歴史的に解明し、その成果を公表するために、2018年度は次の研究活動に重点をおいて実施した。 1.2014~2017年度に重点的におこなってきたA遠山地域・和田に加えて、従来史料調査も十分にはおこなわれていなかった木沢、上村・下栗と上町の史料調査と史料収集・分析を行い、下栗の野牧家文書調査を行ってきたが、史料所蔵者のご都合で調査を中断している。 2.遠山和田の佐藤家文書の写真撮影により収集した史料の分析を進め、飯田市歴史研究所主催の第16回飯田市地域史研究集会「山里社会の歴史とくらし」において、吉田ゆり子「近世初期の城・城下町建設と遠山の森林資源」、前澤健「17世紀の榑木役の変質」を報告した。 3.E清内路地域について、引続き土佐屋文書等の調査・収集を継続しながら、研究成果を論文集の形で公表した(『山里清内路の社会構造』)。 4.18世紀後期に記述された山里の歴史叙述である『熊谷家伝記』(宮下本)を、翻刻・刊行するための原稿作成作業を行った。 5.D浪合地区で塩問屋を営んでいた史料群が新たに発見され、中馬による物流を解明することができる良質な史料群であることから、2019年度に調査を開始することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度を本研究事業の完成年度としていたが、史料調査先の事情による調査の中断があったことや、良質な新史料の発見により、史料調査・収集の時間がさらに必要となった。ただし、清内路の研究成果が論文集として刊行され、また飯田市歴史研究所の研究集会で成果報告を行うことができたことから、研究目標に向けた進捗があったと評価できる。ただし、当初計画では2018年度内に研究分担者全員が研究報告を行うシンポジウムを実施し、2019年度に研究成果を論文集として刊行する予定であったが、研究対象地域で新たな史料が発見され研究を深化させる必要性を認識するとともに、史料集として公刊する価値ある史料群を確認したため、2019年度にはまず史料集を公刊するとともに、2020年度に本研究成果として公刊する論文集の執筆・編集作業を行うという計画変更を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.新たに発見した浪合宿の史料群に関する調査・収集を行う。中断している下栗地区の調査も完成させるようにする。 2.大部な史料集となる『熊谷家伝記』(宮下本)の校訂作業・注釈作業を行い、今年度中に刊行する。 3.研究の完成年度として、研究成果を報告する研究会を実施し、本事業の成果をまとめた論文集を2020年度に公刊するために、論文執筆の準備を行う。 4.今後の本研究事業の成果を継承し発展させるためにも、南信濃地域以外の山里に関する史料や文献を参照し、日本近世社会における山里社会の存立構造分析の全体に、本研究を位置づける。
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Causes of Carryover |
当初計画では2018年度内に研究分担者全員がシンポジウムを実施し、2019年度に研究成果を論文集として刊行する予定であったが、研究対象地域で新たな史料が発見され研究を深化させる必要性を認識した。他方で、史料集として公刊する価値ある史料群を確認したため、2019年度にはまず史料集を公刊するとともに、2020年度に本研究成果として公刊する論文集の執筆・編集作業を行うために、期間を延長して次年度に使用することにした。
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