2014 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける礼・儀式・支配構造の比較史的研究~唐宋変革期の中国・朝鮮と日本~
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26284093
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
西澤 奈津子(古瀬奈津子) お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (20164551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 清陽 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80252378)
藤森 健太郎 群馬大学, 教育学部, 教授 (00373473)
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 助教 (60376639)
金子 修一 國學院大學, 文学部, 教授 (60093952)
石見 清裕 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00176562)
桑野 栄治 久留米大学, 文学部, 教授 (80243864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本史 / 古代史 / 比較史 / 儀式 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際研究セミナー「東アジアにおける礼・儀式・支配構造の比較史的研究」を比較日本学教育研究センターと共催で2回開催した。1回目は、平成26年7月27日(日)、お茶の水女子大学で行った。「渤海使の帯びる渤海官職の再検討」(谷田淑子・お茶大院生)、「唐朝的賓礼儀式及其実施考論―以与新羅的交往為中心」(拝根興・陝西師範大学教授)、「9~10世紀の外交と仏教」(河上麻由子・奈良女子大学准教授)、「延喜年間日本の外交儀礼―朝政と食事の時刻から―」(廣瀬憲雄・愛知大学准教授)、コメント:石見清裕(早稲田大学教授)の発表が行われた。 2回目は、平成27年3月14日(日)、お茶の水女子大学で行った。「平安時代の饗宴―「望月の歌」再考―」(末松剛・九州産業大学准教授)、「唐令復原再思考―以令式分弁為線索」(趙晶・中国政法大学准教授)、「喪葬儀礼と文字資料―随葬衣物疏を中心に―」(稲田奈津子・東京大学史料編纂所助教)、「古代日本における断罪制度の構築過程と赦の運用」(永井瑞枝・お茶大院生)、「北京調査報告―中国国家博物館「絲綢之路」展と中国国家典籍博物館―」(矢越葉子・明治大学PD)の発表が行われた。 これらのセミナーを通じて、古代の国際関係において、日本と中国の二か国間の関係だけを考えるのではなく、中国を中心とした新羅や渤海、東部ユーラシアの国々の関係の中で日本が占める位置づけを全体的に考察する必要があることが改めて認識できた。すなわち、日本側からみた国際関係では一面的なのであり、国際関係全体の中で日本の動向を位置づけることが重要なのである。その結果、日本を相対化することが可能となる。 また、礼・儀式については、上記セミナーにおいて、中国の礼と比較した外交儀礼や喪葬儀礼、平安時代の饗宴に関する発表があった。中国の喪葬儀礼について、規定だけではなく、実態についても日本史側の理解が深まってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9世紀半ば以降12世紀にかけての日本の儀式につて、政治的儀式と中国の吉礼・嘉礼(研究分担者の大隅・藤森・金子・桑野が担当)、喪葬儀式と凶礼(研究分担者の稲田、研究協力者の松岡が担当)、外交関係と賓礼(研究分担者の石見が担当)、生活における礼の導入(書札礼・致敬礼・車礼・路頭礼等、研究代表者の古瀬、連携研究者の野田が担当)、礼の背景(連携研究者の安田・和田、研究協力者の吉永・武井が担当)の5グループに分かれ、各人が研究を行ったことは、その研究実績からも理解できるだろう。 また、平成26年7月27日(日)には、古代の対外関係と外交儀礼をめぐる国際研究セミナー、平成27年3月14日(日)にも、平安時代の饗宴および中国の喪葬儀礼、儀式に関係する唐令の復原に関する国際研究セミナーを行うことができた。国際研究セミナーには、中国におけるそれぞれの研究の第一人者を招聘して、学術交流を行うことができた。特に7月の国際研究セミナーでは、古代の対外関係と外交儀礼について最新の研究発表と議論を行うことができたと評価できる。 ただし、計画では、2回目の国際研究セミナーで喪葬儀礼と凶礼の本格的な研究発表を行う予定であったが、その目的を十分には果たせなかった。 また、この科研の研究会メンバーで中国へ赴き、礼に関する史跡・遺跡や史料に関する現地調査と史料調査を行う予定であったが、各人では同様の調査を行ったものの、科研研究会全体としては行うことができなかったのも残念な点である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本科学研究費の研究において中心となるべき年度なので、まずは研究代表者・研究分担者・連携研究者・研究協力者それぞれが、平成26年度の研究成果に基づき、9世紀半ば以降12世紀の日本の儀式について、政治的儀式と中国の吉礼・嘉礼、喪葬儀礼と凶礼、外交関係と賓礼、生活における礼の導入(書札礼・致敬礼・車礼・路頭礼等)、礼の背景の5グループに分かれて各人の担当分野において研究発表・研究論文を作成することを目的として研究を遂行する。その際、支配構造との関係を考慮する。 また、平成27年7月・同11月・平成28年3月に、喪葬儀礼と凶礼、政治的儀式と吉礼・嘉礼、書儀などの生活に即した儀礼などに関する国際研究セミナーを3回、中国や台湾、韓国からその分野の第一人者を招聘して行う予定である。国際研究セミナーの回数は、研究を促進するため、平成27年度については当初の予定より1回増やした。 なお、その研究成果については本もしくは雑誌として刊行できるように計画を立てて準備する。 さらに、科学研究費メンバーによる中国や台湾、韓国の礼に関する史跡・遺跡の実地調査と史料調査を平成27年度には実施する予定である。
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Causes of Carryover |
科研メンバー全員による中国の礼に関する史跡・遺跡の実地調査、および史料調査を行うことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度においては、科研メンバー全員による中国もしくは台湾、韓国への史跡・遺跡の実地調査、および史料調査を実施する予定である。
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Research Products
(29 results)