2015 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける礼・儀式・支配構造の比較史的研究~唐宋変革期の中国・朝鮮と日本~
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26284093
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
西澤 奈津子 (古瀬奈津子) お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (20164551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隅 清陽 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80252378)
藤森 健太郎 群馬大学, 教育学部, 教授 (00373473)
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 助教 (60376639)
金子 修一 國學院大學, 文学部, 教授 (60093952)
石見 清裕 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00176562)
桑野 栄治 久留米大学, 文学部, 教授 (80243864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本史 / 古代史 / 比較史 / 儀式 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジアの礼・儀式と支配構造について、国際研究セミナー「東アジアにおける礼・儀式・支配構造の比較史的研究」をお茶の水女子大学比較日本学教育研究センターと共催で1回行った。平成27年7月26日(日)、お茶の水女子大学で行った。「朝鮮仁祖代における対明遥拝儀礼の変容―明清交替期の朝鮮―」(桑野栄治・久留米大学教授)、「中古舉哀儀溯源」(呉麗娯・中国社会科学院歴史研究所退休研究員)、「殯宮の再検討」(稲田奈津子・東京大学史料編纂所助教)、「北魏孝文帝の国政改革と臣下服喪儀礼」(山下洋平・九州大学人文科学研究院研究員)の発表が行われた。このセミナーでは、凶礼(喪葬儀礼)を扱ったが、唐令が含まれていることで著名な天聖令に喪葬令の篇目があることもあり、近年、喪葬儀礼の研究は日本、中国、台湾等で盛んである。今回は、中国における唐宋に至る挙哀儀の変化、韓国や考古学における殯宮の解釈に疑問を呈したもの、中国における律令制の淵源である北魏の孝文帝が行った服喪儀礼を再検討したものなど、喪葬儀礼に関する基礎的な考察を行ったものである。その他、明清交替期の朝鮮王朝で行われた対明遙拝儀礼について分析した発表もあった。 本科学研究費の研究成果の一部を『東アジアにおける礼・儀式と支配構造』(吉川弘文館、2016年)として刊行した。「唐朝の賓礼儀式および実施に関する考察―新羅との交流を中心に―」(拝根興、塩野貴啓訳)、「五代諸王朝の対外交渉と僧侶」(河上麻由子)、「古代天皇の食事時刻と朝政制度―延喜年間の外交儀礼を手がかりに―」(廣瀬憲雄)、「渤海使の帯びる渤海官職の再検討」(谷田淑子)、「中古における挙哀儀の溯源」(呉麗娯、峰雪幸人・斉会君訳)、「「書札礼からみた日唐親族の比較研究」 (古瀬奈津子)、「唐令復原再考―「令式の弁別」を手掛かりとして―」(趙晶、佐々木満実・矢越葉子訳)などを収録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9世紀から12世紀の古代から中世への変革期において儀式が支配構造と関係しながらどのように変化したのかを、5グループに分かれて各人が研究を進めることができた(研究実績を参照)。その5グループとは、政治的儀式と吉礼・嘉礼(研究分担者の大隅・藤森・金子・桑野が担当)、喪葬儀式と凶礼(研究分担者の稲田と連携研究者の松岡が担当)、外交関係と賓礼(研究分担者の石見が担当)、生活における礼の導入(研究代表者の古瀬と連携研究者の野田が担当)、礼の背景(連携研究者の安田、和田、と研究協力者の吉永・武井が担当)である。 また、平成27年7月26日(日)には、喪葬儀礼と凶礼についての国際研究セミナーを、中国における喪葬儀礼研究の第一人者である呉麗娯氏を招聘して、本科研費の分担者であり日本における喪葬儀礼の代表的研究者である稲田奈津子氏も参加して行うことができたことは、最新の研究成果の発表と議論を行うことができたということであり評価できる。 さらに、本科研費の研究成果の一部とこれまでの研究会の成果をまとめて図書として刊行することができたことも予想外のことであり、評価できる点である。特に、中国や台湾から招聘した研究者の研究成果について日本語への翻訳を行ったことで、理解を深めるための一助となったと考えられる。 ただし、図書の刊行のための準備に時間と人手が掛かったため、国際研究セミナーを開催する回数がやや少なかった。 また、科研の研究会メンバーで中国もしくは台湾、韓国を訪問し、礼に関する史跡・遺跡や史料を現地調査および史料調査を行うことができなかったことは、科研のメンバー各人では同様の調査を行ったが、残念な点である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本科学研究費の最終年度であるので、研究を総括するべく努める。まずは、研究代表者・研究分担者・連携研究者・研究協力者が、平成27年度の研究成果に基づき、9世紀から12世紀の日本の儀式について、支配構造との関係を考慮しつつ、政治的儀式と中国の吉礼・嘉礼、喪葬儀礼と凶礼、外交関係と賓礼、生活における礼の導入、礼の背景の5グループに分かれてそれぞれの研究を進め、研究論文を作成することを目的として研究を遂行する。 平成28年7月には軍事的儀式と軍礼に関する国際研究セミナー、平成29年3月には総括的な国際シンポジウムを開催する。 国際研究セミナーおよび国際シンポジウムの研究成果は、図書もしくは雑誌の特集号として刊行できるよう企画し実施する。 また、平成28年9月には、科研費の研究会メンバーによる、中国もしくは台湾、韓国の礼に関する史跡・遺跡の現地調査、および史料調査を実行する。
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Causes of Carryover |
研究成果の一部を図書にまとめるのに時間と人手を費やしたため、予定していた研究会を開催できなかった。また、科研研究会メンバーで中国、台湾、もしくは韓国へ礼に関する史跡・遺跡の現地調査および史料調査に行けなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には研究会を年2回開催するとともに、中国もしくは台湾、韓国への現地調査・史料調査を実施する。
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Research Products
(24 results)