2015 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期守護創建禅院の基礎的研究―国菩提寺と京菩提寺
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26284101
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
早島 大祐 京都女子大学, 文学部, 准教授 (10378490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 壮一郎 奈良大学, 文学部, 准教授 (00613978)
衣川 仁 徳島大学, 大学院ソシオアーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (10363128)
小原 嘉記 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (40609202)
山田 徹 京都大学, 文学研究科, 助教 (50612024)
坪井 剛 京都造形芸術大学, 芸術学部, 講師 (20739792)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 西山地蔵院文書 / 室町時代 / 国菩提寺 / 京菩提寺 / 守護在京 / 都鄙交通 / 室町期荘園 / 禅僧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、室町幕府の有力守護であった細川家が京都において創建した禅院である西山地蔵院が所蔵する古文書の史料集を刊行することができた(早島大祐編『西山地蔵院文書』思文閣出版、二〇一五年十月)。西山地蔵院文書は守護創建の京菩提寺に関する基本史料であるとともに、室町期の荘園制や都鄙交通を考える際に重視されてきた禅僧や守護奉行人の活動も判明する重要な史料である。影印・翻刻と詳細な解説を付した本書を公にすることにより、採択課題を遂行し、守護創建禅院についての議論を展開するにあたっての土台を固めることができた。また、前年度に引き続き、室町期の守護の菩提寺を中心に、基礎的事実を確定していく作業も行った。そのために三回の研究会と一回の現地調査を実施した。本年度の第一回研究会(五月二日)では、年度方針と進捗状況を確認したうえで、近江における菩提寺に関する報告を実施し、個別事例の蓄積につとめた。第二回(一〇月一二日)の研究会では、大名のライフサイクルに着目して室町期の菩提寺の事例を集積、創建の画期についての議論を深めた。第三回(三月八日)の研究会では、本年度の成果と今後の中長期計画について確認したうえで、西山地蔵院の寺誌や将軍家の仏事などに関する報告を行い、供養の実態解明と書誌学的検討を進め、あわせて幕府や大名の政治的立場の変遷についても議論した。ついで、近世の菩提寺に関する検討にも着手した。 さらに八月二十六日から二十八日にかけて福島県・山形県・岩手・宮城の四県をまたぎ、東北の守護・有力大名の菩提寺に関する現地調査を実施し、情報を蒐集した。とりわけ、菩提寺が廃寺となった場合のあり方など、供養の主体の変容・移動について知見を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本科研の取得目的の一つである、西山地蔵院文書の翻刻および解題を、無事刊行することができたため。この成果を土台に、科研課題目標をさらに遂行することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまで通り、各地の史料調査を進めていくことで守護の菩提寺に関する事実を集積する。菩提寺に関する記述は様々な史料に存在するため、それぞれの書誌的性格に留意しながら、事例を分析する必要がある。それとともに、研究の総括にむけて、菩提寺の類型や変遷についての議論を進めていきたい。さらに、近世に関する菩提寺の事例を比較検討することにより、中世の菩提寺の特質を探り出すことも目指す。
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Causes of Carryover |
研究会を三月上旬に開催したこともあって、研究協力者の旅費・宿泊費が厳密なラインで 算定できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
金額としては1万円をきっているので 次年度に書籍購入など柔軟に運用していきたいと考える。
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Research Products
(4 results)