2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26284125
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Research Institution | Date City Institute of Funnkawann Culture |
Principal Investigator |
青野 友哉 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 研究員 (60620896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 豊弘 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 研究員 (70145580)
伊達 元成 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 研究員 (70620897)
渋谷 綾子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (80593657)
上條 信彦 弘前大学, 人文学部, 准教授 (90534040)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 考古学 / 縄文時代 / 環境変遷 / 噴火湾沿岸 / 貝塚研究 / 若生貝塚 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は若生貝塚の旧調査区である4×4mの範囲を再発掘し、4面の貝層断面の観察と動物遺存体のブロックサンプルの採取、花粉分析用土壌の採取、貝層下の竪穴状遺構の調査を行った。 貝層はかつて3mの厚さを有していたが、その後の畑の耕作により、現在では2mにまで減じていることが明らかとなった。しかし、残存部分の貝層は多種類の動物遺存体と灰や焼土との互層となっており、季節性や焼成行為といった貝塚の形成過程を明らかにするのに十分な材料を提供していた。特に、貝層の下半部が純貝層で、上半部が混貝土層であることから、貝塚の堆積速度の違いであることが考えられた。 また、貝層中には貝が被熱して漆喰状に変化した層が存在し、詳細な発掘と断面観察により、焼けた貝が他所から運び込まれたのではなく、貝塚上で火が焚かれた結果であることが判明した。さらに、貝層下の土層中には縄文早期と前期を分ける時期とされる駒ヶ岳g火山灰が存在し、火山灰の下部から早期のアルトリ式土器が出土し、竪穴状遺構は火山灰の降下後に構築されたことが明らかになった。これらのことから、縄文早期から前期中葉までの人類の活動について、復元できる材料を得ることができた。 また、遺跡全体の範囲と居住域を探るため、E地点と名付けた貝が散乱する耕作地の分布調査を行った。その結果、旧調査区(A地点)とほぼ同時期の縄文前期の貝塚が、広範囲に広がっていることが明らかになり、全貌解明のためには分区調査を継続する必要が出てきた。 さらに、植物質食料の解明については、分担者の上條が函館市ハマナス野遺跡の礫石器約200点の使用痕観察を実施した。その結果、同じ礫石器でも型式ごとの違いを見出すことができた。また残存デンプン分析用の試料を約150点採取した。同じく分担者の渋谷は函館市垣ノ島遺跡の礫石器15点より残存デンプン粒分析用の試料を採取した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から予定したいた重点項目(a.環境復元データの収集、b.遺跡データの集成、c.貝塚出土動物遺体の分析、d.残存デンプン)のすべてについて調査・分析を行っており、順調に進展している。 ただし、遺跡データの集成により、次期的な欠落部分があることや、花粉や残存デンプンの検出率が悪いことが判明し、これについては新たな遺跡の発掘を行うことで補う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、これまで実施してきた若生貝塚の動物遺存体分析、花粉分析、年代測定結果を総合して、環境復元に関する総括を行う。 また、遺跡データベースを作成した結果、貝塚について時期的空白のある縄文後期のデータを得るために、室蘭市絵鞆貝塚の小発掘を行い、貝層のブロックサンプルと花粉分析用土壌、残存デンプン粒分析用資料の採取を行う。
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Research Products
(11 results)