2014 Fiscal Year Annual Research Report
世代間正義と民主主義の緊張関係についての法理論的・法制度論的考察
Project/Area Number |
26285008
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
毛利 透 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60219962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 真一 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70243003)
曽我部 真裕 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80362549)
尾形 健 同志社大学, 法学部, 教授 (60368470)
岸野 薫 香川大学, 法学部, 准教授 (70432408)
片桐 直人 近畿大学, 法学部, 准教授 (40452312)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 憲法 / 財政法 / 社会保障法 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画初年度である平成26年度には、共同研究参加者が日常的にテーマについて話し合うほか、メンバー以外の研究者も含めた研究会を3回開催し、世代間正義と民主主義の緊張関係という問題意識を共有したうえで、主に基礎理論的視点からその解決の方向性を探る議論を重ねた。 まず、平成26年7月には、京都産業大学法学部の須賀博志教授に、ドイツ連邦議会の国政調査権の限界をめぐる報告をしていただいた。政府が有する情報に対する議会の調査権は、民主的意思決定が長期的視点をもってなされるために不可欠の前提であり、その観点から議会と政府の権限関係をどのように調整していくのかという重要な問題について議論した。 同年12月の研究会では、研究分担者である片桐直人准教授が、日本の財政制度について、詳しい報告を行った。日本の厳しい財政状況を具体的に確認するとともに、それを生み出した一因と思われる制度的問題とそのありうる解決策について考察を深めた。 平成27年3月には、研究代表者である毛利が、現代社会における法および法学の役割について、ハンス・ケルゼンの学説を参考にして報告した。昨今の財政状況などからしても、この研究テーマについて法学に何ができるのかという懐疑が生じても仕方のないところであるが、国家権力の存在を前提にしてその行使を法的に拘束することの意義はなお失われていないとの報告者の見解につき、議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者相互の意見交換を活発に行い、全体の研究会も、メンバー以外の研究者も招いて3回開催して充実した議論を重ねた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の交付申請書に記したとおり、3グループ体制で日常的に議論を重ねつつ、全体の研究会も継続して開催する。また、平成27年3月に、研究代表者である毛利の問題意識を表した学術論文、"Die Grenzen der Demokratie aus der Sicht der Generationengerechtigkeit" が刊行されたので、それを元に研究の推進を図る。
|
Causes of Carryover |
研究に必要な書籍を購入する予定であったが、その出版が遅れ、購入が間に合わなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、出版され次第購入する。
|
Remarks |
研究分担者の曽我部真裕教授が開設しているウェブページ。
|