2016 Fiscal Year Annual Research Report
名古屋議定書における人権、経済及び他の協定との相互連関-京都議定書との比較研究-
Project/Area Number |
26285013
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西村 智朗 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70283512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳川 信治 立命館大学, 法学部, 教授 (60280682)
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
松井 章浩 大阪工業大学, 専門職大学院知的財産研究科, 准教授 (20511645)
松本 裕子 (小坂田裕子) 中京大学, 法学部, 准教授 (90550731)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 名古屋議定書 / 国際環境法 / 国際法の分断化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は名古屋議定書発効後の実施に関する現状を中心に検討すると共に、人権法(少数人民の保護)や経済法(知的財産権)などの分野についてこれまでの研究成果をまとめる作業をおこなった。前半期は、研究代表者及び研究分担者がそれぞれの専門分野に応じたテーマを設定し、それぞれの研究成果を積み上げながら、後半期には相互に進捗状況を確かめつつ、後述する3月のワークショップの際に研究会を開催し、研究成果を確認した。 名古屋議定書に関しては、12月にカンクン(メキシコ)で開催された第2回締約国会議について、直接参加はできなかったが、参加者にヒアリングを行いつつ、最新の情報の入手と分析を行った。 また、他分野との相互関連性について、国連海洋法条約における国家管轄権外の区域の生物多様性に関するシンポジウムや研究会に参加し、海洋法における遺伝資源のアクセスおよび利益配分に関する議論状況について知見を得た。加えて、日本の批准に向けた動向について注目し、国内法整備に関する研究会に参加し、その現状を調査した。 韓国の高麗大学校の研究チームを招聘してワークショップを開催し、日本および韓国の名古屋議定書の批准に向けた現状とそのための国内法整備に関する検討を行い、相互に貴重な情報を共有した。 名古屋議定書以外では、ポスト京都議定書の国際制度について、2015年に採択されたパリ協定の早期発効(2016年11月)を受けて、第1回締約国会議での議論を踏まえつつ、その現状と課題を分析し、研究成果を学会報告や論文で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、5名の国際法研究者がそれぞれの専門性を活かしておこなう共同研究である。それぞれの研究対象及び専門分野によって若干の違いはあるが、これまで3年間の研究計画の進捗は、概ね順調に進んでいると評価できる。 研究対象である名古屋議定書は、当初期待していた通り、研究開始初年度の2014年10月に発効した。その結果、2014年に第1回、2016年に第2回の締約国会議も開催され、議定書の実施に関する具体化も進みつつある。その一方で、日本の批准手続は遅れているが、最終年度の2017年には発効の見通しも付いている。その結果、日本国内での同議定書の関心も少しずつ高まっており、本研究の意義も高まることが期待できる。 2016年は、研究分担者の松本(小坂田)がワシントンDCでの在外研究から帰国し、共同研究の体制もより一層緊密化することができた。 加えて、2017年3月に京都で開催したワークショップでは、名古屋議定書の実施に関する現状と課題について確認するだけでなく、同議定書の批准に向けた日本と韓国の国内法制度の差異について重要な示唆を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
生物多様性条約制度及び気候変動条約制度の下で採択された多数国間環境協定は、地球環境問題というグローバルな課題を対象としている点、及び環境保護を主目的としながらも発展途上国の貧困撲滅といった社会発展や貿易秩序との調整といった経済問題と密接に関連することから、既存の国際条約・国際制度との抵触が想定され、その調整が必要であるという当初の仮説は適切であったと言える。 最終年度にあたる2017年度は、引き続き、多数国間環境協定の重要な検討素材として、名古屋議定書及びパリ協定の実施に関する研究を進めていくが、国際法の分断化やレジーム・コンプレックスの研究状況を視野に入れつつ、人権・経済分野の国際条約、海洋法秩序、他の国際環境条約との関連性について、より詳細な分析を進めていく。 また、韓国の高麗大学との国際共同研究については、2017年度は韓国でワークショップを行う予定である。ここでは行政や実務のレベルでの専門家を招き、研究の精度を高めると共に、最新の情報を共有することを期待している。それらの成果を踏まえて、最後に公開のシンポジウムを開催し、研究成果の公表と市民への還元をはかる。
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Causes of Carryover |
研究代表者が大学の行政職(学部副学部長)に就任したことから、当初計画していた外国出張に参加することができなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に外国出張をおこない、必要な資料収集をおこなうことで代替する。
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[Presentation] The Paris Agreement: Its Implications and challenges2016
Author(s)
Yukari Takamura
Organizer
"International Conference on the Paris Agreement: Key Elements and Implementations" organized by Center for International Law, KNDA and SSK Research Center for Climate Change and International Law
Place of Presentation
ソウル(大韓民国)
Year and Date
2016-04-29 – 2016-04-29
Int'l Joint Research / Invited
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