2014 Fiscal Year Annual Research Report
家事事件当事者の合意による解決と家事調停・メディエーション機能の検証
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26285027
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健 札幌学院大学, 法学部, 准教授 (00556764)
金 成恩 立命館大学, 立命館グルーバル・イノベーション研究機構, 研究員 (00723884)
櫻田 嘉章 甲南大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10109407)
中野 俊一郎 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30180326)
松久 和彦 香川大学, 法務研究科, 准教授 (90550426)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家事調停 / メディエーション / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年6月23~24日韓国大田家庭法院、ソウル夫婦青少年家族相談所を訪問し、協議離婚における合意形成支援のシステムのソウル以外での実践、合意形成に困難を抱える当事者への3ヶ月で10回の無料カウンセリングの内容などを調査した。2015年3月24~27日米国ロザンゼルスにて、メディエーター養成のプログラム、アジア人を対象としたメディエーションの内容、カリフォルニア州副法務長官オフィスにてハーグ子の連れ去り条約の実施状況(子の福祉のための工夫)、家裁から委託されて親教育、相談対応、メディエーションをしているツーソンのファミリーセンターへ訪問調査を行った。 2014年11月16日に研究会「協議離婚における当事者支援システム」を開催した。日本における基礎自治体(明石市)の取組みについて、二宮が報告し、韓国の当事者支援システムの変貌と課題について、韓国から招聘した、ソウル家庭法院・宋専門調査官が報告した。2015年2月28日に研究会「家事調停における合意解決の促進」を開催した。離婚紛争における合意形成の必要性・可能性について、片山弁護士が報告し、同席聴取りの試み(当事者主体の調停を目指して)について、小田家事調停委員(元裁判官)が報告した。いずれも研究者、弁護士、家裁調査官、家事調停委員など60名を超える参加があり、実務経験に根ざした熱心な討議が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
米国のメディエーション、韓国の協議離婚制度改革、相談対応の実情、ハーグ子の連れ去り条約の米国における取組状況、米国及び韓国における親教育の実践など、当初の計画に沿った海外調査が行われ、また研究会においても、明石市の取組みや合意形成の必要性の認識を共有化した調停機能の検証、新たな調停技法の検討などが行われ、共同研究は予定通り、進捗しているといえる。韓国の宋調査官と連絡を密に取り、韓国のさらなる改革の状況も知ることができ、海外の実務家との共同研究も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
離婚紛争の当事者である父母に早期に離婚が子どもに与える影響を認識してもらい、合意解決ができるような支援のあり方として、初期対応の仕組み(父母への情報と子ども自身への情報提供)、葛藤が高まり、家裁で調停などが始まった場合における当事者支援の調停技法、合意内容が履行されることの安心感が合意を促進することから、履行支援の仕組みを研究する。当初の予定に従った調査、研究会の他に、さまざまな面会交流支援をしている団体との連携、交流を深め、支援システムの構築に着手する。
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Causes of Carryover |
学術研究助成基金助成金について、国内調査及び研究会開催が予定よりも少なく、また海外調査参加者がスケジュールの都合で少なくなったこと、さらに海外から研究者・専門家を招聘しての研究会の開催が1回になったこと、合意形成支援のパンフレット等の作成が遅れていることから、次年度繰越とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年(2014年)度は、家事調停・当事者支援検討班、国際的家族紛争班は、国内・海外調査、研究会など順調に進捗したが、今年(2015年)度は、家族法制度検討班にも、海外調査を行ってもらい、共同研究の内容を深める。また海外から研究者・実務家を招聘してのシンポジウムも開催する。さらに国内で離婚後の親子の面会交流の合意が形成された後の、フォロー、支援を行っている当事者団体と連携しながら、支援者を支援するシンポジウムの開催も計画している。親教育パンフレット作成にも着手する。
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Research Products
(33 results)