2016 Fiscal Year Annual Research Report
内閣支持率の時系列分析-政治的事件・報道・世論の相互関係をめぐって
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26285031
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
福元 健太郎 学習院大学, 法学部, 教授 (50272414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 幸男 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30347257)
飯田 健 同志社大学, 法学部, 准教授 (50468873)
大村 華子 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (90612383)
籠谷 公司 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (60723195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内閣支持率 / 事件 / 報道 / 時系列分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
次のデータを収集・入力・整備した。事件と報道の分析については、当該更迭・罷免自由発生から実際に閣僚が退任するまでの期間について、主に朝日新聞のデータベースから記事を検索抽出し、記事見出し及び報道量のデータを作成した。2009年の政権交代以前について作業を完了している。また、『時事世論調査特報』から属性別政党支持率をエクセルに入力する作業を継続した。1960年7月から2000年7月までのデータを入力済である。さらに、2000年から2007年までの社説データを一旦完成させた。また関連して、読売新聞データベースより1988年から2010年の期間、韓国と北朝鮮が同時に言及される記事の数を月ごとにカウントしたデータを作成した。 既に公表されている時事データの内政に関わる変数も含めて、予備的分析を開始した。まず新聞記事データを分析し、北朝鮮と韓国とが日本の新聞記事で同時に言及される数が2002年の日朝首脳会談以降減少し、時事データの「韓国嫌い」の割合に対する「北朝鮮嫌い」の割合の規定力が低下したことを示した。次に2016年12月15日に日露首脳会談が予定されたため、次のようなインターネット調査を行った。前後1週間にかけて北海道、東京、沖縄の各都道県で毎日50人の標本を取り、次のような分析を行った。第1に、首脳会談は交渉決裂に終わったにもかかわらず、内閣支持率は首脳会談前後で変化しなかった。一方、対露感情や日露関係の見通しは悪化した。第2に、所得格差の認識、経済評価、政府への業績評価の関係の検証に取り組んだ。第3に、経済評価と党派性の間の内生性に対処するために、操作変数をサーヴェイ実験による外的な刺激を通して導く作業に取り組んだ。最後に、標本誤差が分析に与える影響について引き続き理論的な考察を進めた。 研究打ち合わせを2016年5月14日に東京で、10月1・2日に大阪で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年12月15日の日露首脳会談前後に行ったインターネット調査は、日露首脳会談開催決定後に急遽企画したものであったため、準備から分析まで、当初予定していなかった時間を取られてしまい、当初予定していた所期の作業ができなくなってしまった。 また、属性別政党支持率の入力作業は、政党の離合集散、消滅、新党の登場などが発生するため、入力内容に変化がない内閣支持率に比べると長い時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 属性別集計データのうち、公表されていない2次元データ、さらには3次元以上のデータのうち、どれを時事通信社から購入するかを、引き続き慎重に検討する。 データを収集・入力・整備する。まず、政党支持属性別データの入力を継続し終了させる。また、支持する政党として名前が挙がった政党の一覧を作成する。次いで、日露首脳会談に関する報道内容のデータを作成し、ネット調査データとのリンケージを行う。最後に、社説データを2007年以降および2000年以前のものに拡張する。 研究目的で提示した仮説を検証する。まず、閣僚の不祥事が内閣支持率に与える影響、及び、その影響をマスメディア報道が増幅しているかについて、検証する。また、インターネット調査データと新聞記事内容データをリンクした分析により、報道内容が内閣支持に与える影響について検証を行う。さらに、標本誤差が分析に与える影響について理論的な考察を深める。最後に、月齢が内閣支持率の男女差に与える影響について分析する。 研究成果を報告する予定は次の通り。飯田は、10月にソウルで開催されるAsian Electoral Studies Conferenceおよび、2018年1月にニューオリンズで開催されるSouthern Political Science Associationで報告を行い、その後ジャーナルに投稿する。籠谷は、7月1日・2日に韓国(ソウル)開催されるPacific International Politics Conferenceで報告する。大村は、8月29日から9月2日に行われる日本行動計量学会第45回大会(静岡県立大学)において報告する。 Stan Hok-woi Wong, Frank Liu, Arthur A. Stein, Wooyeal Paikの諸氏を招いて、世論に関する国際的なワークショップを、大阪で7月24日・25日に開催する。研究打ち合わせを香川(5月20日・21日)、東京(9月23日・24日)で行う。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由と使用計画) 当初の予定では、属性別集計データを時事通信社から購入するつもりであった。しかしながら2次元であれば一部の属性別集計データが『時事世論調査特報』などを通じて既に公表されていることが判明したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
属性別集計データのうち、公表されていない2次元データ、さらには3次元以上のデータを時事通信社から購入する。
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