2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26285047
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
上條 良夫 高知工科大学, 経営学部, 准教授 (40453972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三船 恒裕 高知工科大学, 経営学部, 講師 (00708050)
岡野 芳隆 高知工科大学, 経営学部, 講師 (20513120)
舛田 武仁 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80725060)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 集団意思決定 / 戦略的状況 / ゲーム理論 / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の利害関係者による単一の意思決定は、社会経済のあらゆる場面で観察できる意思決定の重要な形態であり、その特徴やプロセスを解明することは社会科学全般における重要な課題である。本研究は、心理学などで提案されている集団意思決定のモデルを利用することにより、戦略的状況下で、集団が個人とは異なる様々な性質を見せる背後にあるメカニズムを、モデル構築と実験による検証を通じて明らかにしていく。戦略的状況の特色を踏まえて、選好・他者への信念・他者からの信念、という3点から集団は個人と比べてどのように変質をするのかに注目する。さらに、利害の異なる個人から構成される集団の意思決定についても同様の手法で明らかにしていく。 26年度は、集団が個人の選好・信念を集約し意思決定へと至る仕組みを明らかにするため、集団内の個人となることにより、個人の選好がどのように変化するのかを調べるような実験デザインについて検討した。集団になることによる選好の変化について把握することにより、集団が個々人の選好をどのように集約するのかを明らかにすると考えられる。 集団の選好が個人の選好と比べてどのように変質するのかを、利己的選好か利他的選好かという社会的選好に関するドメインと、どの程度のリスクを許容し好むのかというリスク選好のドメインの、二種類について明らかにする。これらを明らかにするための実験課題について検討するため、多数決により利他的分配案を決定するような実験と、リスク課題に関する予備的な実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度の当初計画では、集団が個々人の選好をどのように集約するのかを説明するようなモデル構築を最初に行うことを予定していたが、先行研究を精査した結果、集団内の個人は、単なる個人として振る舞うときと、選好そのものが変化している可能性があることに気が付いた。この点を明示的にした経済学の研究は乏しく、それゆえ、この点を明らかにする研究の意義は高いと考えらえる。このような考えに従い、研究計画を、集団内の個人の選好がどのように変化するのかを明らかにするような実験デザインの検討から始めることとしたため、当初の計画よりもやや研究進度がやや遅れることとなった。すでにこの点を明らかにする実験デザインは固まっているため、27年度からは研究が順調に進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに実験デザインは固まっており、予備的な実験も終了しているため、27年度からは精力的に実験を実施していく予定である。実験実施に際して、本学に新たに着任したPDの田村氏の協力を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
研究の現在までの達成度の欄で説明したように、研究計画に微修正が入ったため、実験実施が遅れていることが理由である。27年度から実験を精力的に実施していく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度から実験を精力的に使用していく予定であり、次年度使用額はそのために使われる予定である。
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