2014 Fiscal Year Annual Research Report
学業から就業への円滑な移行に関するパネルデータ分析
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26285056
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 美樹 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (70722388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 恵美子 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (50467263)
藤井 麻由 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (70648328)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経済政策 / パネルデータ / 学業 / 就業 / 移行過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2014年度において、若年者が学校卒業から社会人へと移行する過程において発生する諸問題に対して社会科学的に新たな知見を得るために、学生生活最終年から社会人1年目以降を追跡するパネル調査LOSEF学生版調査を2015年2月に実施した。2015年3月卒業予定者および2014年3月卒業者への追跡調査である。質問票は、研究代表者・小林と研究分担者・臼井が他の研究分担者および連携研究の協力を得て作成した。調査項目は、現在の学生生活や就職活動の様子、将来の家庭に対する希望、今後の可能性に関する質問など多岐にわたる項目を調査した。本研究では2つの調査を実施した。第1は、「平成26年度卒業予定者に対する調査」である。調査対象者は平成26年度大学(および短大・大学院)卒業予定者である。第2は、「平成25年度大学卒業者(および短大・大学院)に対するフォローアップ調査」で現在社会人1年目の男女である。現在、分析用サマリーデータを作成するため、データクリーニング中である。本調査結果を用いて、今後、分析を進める。2014年度に小林は、JGSSデータを用いて、メンタルヘルスを原因とする雇用への影響を考察した。また、就業構造基本統計調査を用いて、女性の就業と育児について分析をおこなった。小林と臼井は、2012年度LOSEF本調査(成人版)を利用して20代から40代女性の現在の就業状況と育児とりわけ母乳育児との関係を分析した。藤井は、2011 年度LOSEF 学生版パイロット調査のデータを、奨学金の分析を行えるように整備するとともに、日本の奨学金制度に関して調査を行い、親の所得と子どもの大学進学に関する論文のレビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学生調査を実施するにあたり、質問票を作成したが、日本ではあまり類のない様々な可能性についての質問など意欲的な内容であった。学生調査は滞りなく終了し、サンプル数も予定した数を確保できた。また、それぞれの担当の研究を深めることができた。小林はメンタルヘルス、臼井は女性の就業、藤井は奨学金関係、高山は年金の研究である。臼井、高山は査読付き雑誌への掲載や書籍化、海外での研究発表など意欲的に取り組んだ。一方で、小林のメンタルヘルス関係の論文はディスカッションペーパーであり、今後査読付き学術雑誌への投稿を行う予定であるが、2014年度はまだできていなかった。藤井も論文にまとめるまでの完成度ではなかった。2015年度には、これらの研究を高め、査読付き雑誌への投稿を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
LOSEF学生調査をもちいて、学生時代の就職活動や将来の希望および可能性について分析を進める。特に「家族関係や友人関係」「親の学歴、職業、所得」等の人間関係・社会経済的要因の就業意欲への影響を調べる。そのために、LOSEF学生調査の結果をきちんとしたデータセットとなるよう作成をおこなう。さらに、他のデータも利用しつつメンタルヘルスと労働参加に関する研究を深化させる。女性の就業に関する研究では、学生時代に考えている将来の家族形態に関する希望(結婚希望の有無や子ども希望の有無)やキャリアプランが就業後にどのように変化したのかを分析する。加えて、学生時代の親の経済状況・奨学金受給の有無による卒業後の本人の就業状況・仕事の質の違いと、その違いが生じるメカニズムに関する研究を継続・深化させる。学生の年金加入に関する意識についても分析をすすめる。これらの研究成果を論文にまとめ、ディスカッションペーパーの発行さらには査読付き雑誌への投稿をおこなう。また、研究会および学会でも報告する。
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Research Products
(13 results)