2015 Fiscal Year Annual Research Report
職場におけるリフレクションとアンラーニングに関する実証研究
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26285078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 睦 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20268593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久永 忠 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (50452305)
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70195444)
高橋 潔 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90298555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リフレクション / 批判的リフレクション / アンラーニング / コーチング / 学習志向 / 知識創出・共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、既存のリフレクションおよびアンラーニング尺度を用いて、営利組織および非営利組織に所属するチームメンバーおよびリーダーに対して各種質問紙調査を実施した。その結果、以下の点が明らかになった。 第1に、個人のアンラーニングに直接的に影響を与えていたのは、批判的リフレクションであり、一般的なリフレクションは批判的リフレクションを通じて間接的にアンラーニングに影響を与えていた。第2に、学習志向および業績志向という2つの目標志向性のうち、個人の批判的内省を直接促していたのは学習志向であった。また、チームレベルの学習志向がメンバーの学習志向を高める効果を持っていた。第3に、チームリーダーのコーチングが、チーム内におけるリフレクションや批判的リフレクションを促進し、その結果としてチームのアンラーニングが促されていた。第4に、チーム内における知識創出・共有が、チームのアンラーニングにポジティブな影響を与えていた。 以上の結果は、一般的リフレクションと批判的リフレクションがそれぞれ異なる形で個人やチームのアンラーニングに影響を及ぼすことを示唆しており、アンラーニングの発生メカニズムをリフレクションの観点から明らかにした点に理論的な意義がある。また、原因変数としてリーダーのコーチング、チームレベルの学習志向、チーム内の知識創出・共有の効果を検討したことにより、チームにおいてリフレクションやアンラーニングが生じるプロセスの一部を解明した点が、当該分野における学術的な貢献であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、リフレクションを一般的リフレクションと批判的リフレクションに区別した上で、アンラーニングに与える影響を検討することができた。また、本研究における重要概念であるリフレクションおよびアンラーニングに影響を与える変数として、コーチング、目標志向性、知識創出・共有の効果を検討することにより、チーム内においてリフレクションやアンラーニングが生じる条件の一部を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アジアや欧米企業に勤務するビジネスパーソンを対象とした質問紙調査を実施するとともに、リフレクションやアンラーニングの原因変数・結果変数として、ジョブ・クラフティング(job crafting)、探索(exploration)と活用(exploitation)を研究モデルに取り込む予定である。さらに、マネジャーがチームにおけるリフレクションをどのように実施しているかについての質的調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
調査会社を利用して、海外企業に勤務する従業員やマネジャーに対する質問紙調査を実施するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査会社を利用して、アジアおよび欧米企業に勤務する従業員やマネジャーに対する質問紙調査を実施し、リフレクションやアンラーニングの原因要因、結果要因について分析する。
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