2015 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害者の社会的排除に関するシステム論的解明と社会的包摂に向けた国際比較研究
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26285109
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田邊 浩 金沢大学, 人間科学系, 教授 (50293329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 浩司 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40230510)
竹中 均 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90273565)
眞鍋 知子 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70320025)
松田 洋介 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80433233)
竹内 慶至 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (80599390)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / 福祉国家 / 福祉レジーム / 社会的包摂 / 社会的排除 / 居場所 / 障害学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も,国内調査研究,海外調査研究,理論研究をそれぞれ進めた. 国内調査研究は,当事者家族研究をほぼ終えることができた.それ以外の,発達障害のある人びとの就労支援に関連する,学校,就労支援団体,就業先等の聞き取り調査は,諸事情により今年度は大きく進めることをしなかった.これらは次年度,集中的に実施する予定である. 海外調査は,予定通り,ドイツにおいて,ハンブルグを中心として,ブレーメン,ミュンヘンなど,数カ所において調査を実施することができた.この調査では,スウェーデン調査で調査対象とした自閉症特別支援学校,リハビリセンター,就労支援団体,自閉症協会などと同等な訪問先を見つけることができ,スウェーデンとの比較可能性を確保し,必要としていた多くの情報を得ることができた.私たちの期待していた以上にうまくいった調査だといえる.資料等をきちんと整理し,分析を行って,実りある研究成果に結びつけたい. ドイツ以外では,オーストラリアにおいて,調査を実施した.また,イギリスにおいても調査を実施する予定であったが,これは下調べは進めたものの,実査には至らなかった. 理論研究にも進展が見られ,現代文化と発達障害の関係の分析を進めた.また,発達障害を障害学的観点から検討する作業を前進させた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査では,当事者家族調査はほぼ終了することができた.その他の学校調査,コミュニティ調査は,今年度,あまり前進していないが,これは海外調査に大きな比重をおいたためである.このことによって大きな遅れをとったとは考えておらず,来年度集中的に国内調査を進めることによって取り返せる範囲内のことである. 海外現地調査は計画通りに進展しており,まったく問題はない.スウェーデン調査の分析結果をまとめた論文を研究代表者と研究分担者で共著で作成して投稿し,すでに掲載が決定済みである(5月発行予定).今年度も,スウェーデン調査,ドイツ調査,そしてそれらを日本と比較した論文を作成することを計画し,今年度後半には学会誌に投稿することができると見込んでいる. 理論研究も,着実に前進し発達障害と現代社会の関係について解明を進めている. 以上の理由から,本研究は計画通り,順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度,国内研究に十分に力を傾注できなかったため,今年度は国内での調査研究にも精力的に取り組む予定である.当事者・当事者家族の調査はすでに実施し終えたので,残された学校,就労支援団体,就労先,グループホーム等での聞き取り調査を行うこととする. 海外現地調査はこれまでのところ予定通り順調に進めることができているが,今年度調査する予定であるアメリカは国土も広く,また州によって事情も異なることが予想されるので.事前に十分な検討を加えたうえで,調査対象を決定したい.また,今年度で海外調査は終える予定であるので,得られたデータから,本格的な分析に取り組んでいく予定である.間をおかずに早めに分析を進め,堅実に成果を上げたいと考えている.
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Causes of Carryover |
研究代表者が長期の在外研究を行っていたこともあり,今年度予定していた国内での主な研究を次年度に行うことにしたことが,次年度使用額が生じたもっとも大きな理由である. また,次年度に予定しているアメリカ調査に多大な経費がかかることが予想されるため,それに備えてなるべく次年度に使えるように今年度分を節約したことも理由の一つである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,当事者家族調査以外の国内調査を集中的に実施するために,今年度未使用金を使用する予定である.また,その一部はアメリカ調査の経費にも充てる予定である. 以上が,次年度使用額の使用計画である.
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Research Products
(8 results)