2017 Fiscal Year Annual Research Report
International comparative study on social exclusion and social inclusion of people with developmental disabilities from the viewpoint of system theory
Project/Area Number |
26285109
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田邊 浩 金沢大学, 人間科学系, 教授 (50293329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 浩司 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40230510)
竹中 均 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90273565)
眞鍋 知子 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70320025)
松田 洋介 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80433233)
竹内 慶至 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 准教授 (80599390)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 発達障害 / 自閉症 / 社会的排除と包摂 / 福祉国家 / 福祉レジーム / 就労支援 / 地域の居場所 / 社会システム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,最終年度として,研究成果の取りまとめを進め,いくつかの成果の発表を行った.また,補足的な海外調査も実施した. まず,3カ国(スウェーデン,ドイツ,アメリカ)での海外調査のデータの整理を行った.特に,アメリカ調査は前年度末に実施したため,そのデータの整理と分析は,今年度にすべて残されていた.基本的には集めてきた資料を整理し,訪問した機関・団体での聞き取り調査の文字起こしを行った.それらを利用して,とりわけドイツとアメリカ調査のデータ分析を進めた. 3カ国および日本で調査の分析結果の一部について,日本社会学会大会において研究報告を行った.また,教育目標評価学会におけるシンポジウムに登壇し,発達障害者の就労支援と福祉レジームに関する研究報告を行った.これらの報告で,日本を含めた4カ国における,特に発達障害者の就労支援という点について,その差異を明らかにすることができた.また,日本が参考とすべきいつくかのポイントを見いだすことができた.また.福祉レジームを超えた,一般的な福祉国家変容についても一部を明らかにすることができたと考える. つぎに,若干対象範囲を拡大し,アジア諸国での発達障害者の状況を把握するために,中国において聞き取り調査を実施した.中国は福祉国家ということは難しいかもしれないが,福祉レジームの意味をより鮮明にするために,既存のレジームにはおさまらない中国をあえて対象としたものである.中国では,障害者団体,自閉症児療育施設,自閉症協会等において聞き取り調査を行った.これら中国でおこなった調査の結果を取りまとめて,論文を執筆して投稿し,すでに刊行されている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,本研究の柱となる,海外3カ国での調査のデータ分析を進めたが,数多くの機関・団体で聞き取り調査を行ったため,外国語を扱いながらデータを整理し,分析を進めることに,多くの労力を要することになっている.また,その分析過程で,各国の社会福祉・社会保障に関する制度をより詳細に調べる必要も出てきたため.予想していたよりも時間を必要とすることになった. また,海外調査のデータ分析に多くの時間を取られたため,日本において調査すべきことが若干ではあるがまだ残されている. 本来は,本年度が本研究の最終年度であったが,結果として,成果を取りまとめるためには,なお時間がかかる見込みである.
|
Strategy for Future Research Activity |
日本においては,発達障害者を取り巻く社会環境,および社会的支援のあり方は,ここ10年ぐらいで大きく変化してきている.私たちの研究グループは,発達障害に関する調査研究はほぼ10年ぐらい前から行ってきたが,その頃とも状況はかなり異なっている.そのため,今後は,日本での調査を継続して行い,またすでに調査を過去に行っている団体・機関に対しても最新の状況を把握するために再度調査を実施して,海外3カ国との比較を正確に行いうるようにデータを整備する. そのうえで,異なった福祉レジームにおける発達障害者のおかれた状況とその社会的支援に関する差異の分析と日本の発達障害者支援政策に与える示唆の剔出を研究課題として取り組み,今年度中には研究成果を取りまとめる.日本語と英語において論文を執筆することを進める.
|
Causes of Carryover |
進捗状況でも述べたとおり,研究成果の取りまとめになお若干の時間と追加の調査が必要とされたため,それらを遂行するための研究費を次年度に残すため,今年度の使用額を若干抑制した.次年度は,主として日本で残された機関・団体で聞き取り調査を行うための旅費と,成果を取りまとめするために必要とされる文具等の雑費に使用する予定である.
|
Research Products
(10 results)