2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26285151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 崇宏 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20390586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 因果効果 / 準実験 / マルチレベル / 調整変数 / 教育評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、この10年間に社会科学全般で爆発的に普及した介入効果・因果効果推定法について、特に心理・教育分野において重要な研究デザインである様々な準実験デザイン、学校-教室-個人などの階層性のあるデータ、メタ分析、発達データ等のパネル調査やテスト実施に必要とされる等化を因果モデルの統一的な枠組みで表現し、どのような研究デザインにどのような仮定が必要かを明確化するとともに、これらに対して精度の高く頑健な因果効果推定法を開発することである。 平成26度は準実験の様々なデザインを因果モデルの枠組みで統一的に記述し、どのようなデザインにどのような仮定・制限が存在するかを明確化するべく、以下の研究を実施した。 1:研究目的(A) <準実験デザインの因果モデルとしての整理>のうち、心理・教育・社会学等で利用されうる準実験デザイン(Shadishら2002)について網羅的に”潜在的結果変数”を用いたRubinの因果モデルの観点から定式化をし直す研究を行った。具体的には処置の交換を含む不等価の事前事後デザインや、一度介入や処置が行われた後、介入の除去が行われるデザインなどについて、潜在的結果変数アプローチから整理しなおした。さらに、これらのデザインから因果効果が正確に推定できるための前提条件を明確にする研究を行った。 2:目的(B)<各モデルの欠測データモデルとしての一般的記述>についての研究を行った。具体的には階層性のあるデータはこれまで因果モデルでは表現できなかったが、レベル2(学級-生徒の学級や個人-時点の個人)における変数を因果効果に影響を与える調整変数として定式化することで表現可能にし、またこれについての解析を行う方法を開発した。 3:目的(F) <外部データのないデザインへの実証実験調査>のためのパネル調査の予備調査を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた研究については実施したため。但しパネル調査自体の実施については予備的な段階にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
パネル調査については所属機関がすでに行っている調査と相乗りをする形で実施することで、短い研究実施期間においても長期的な効果の検証が可能になるため、今後関係する研究者と協議し進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究費確定後に、申請時の研究内容の一部であるパネル調査の見積もりを行ったところ、予算をオーバーしたため申請時の計画がそのままでは実施できなくなった。そこで情報収集したところ、別途行われているパネル調査へのあいのりの実施が次年度から可能になることがわかったため、研究費の効率的な活用のために次年度からの実施とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パネル調査の実施に関わる委託経費と調査票等の整備、回収等の人件費や謝金、さらに当該調査の解析のためのソフトウェア等の物品費について次年度に執行する。
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Research Products
(7 results)