2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26287051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井岡 邦仁 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80402759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡 和範 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (50565819)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 高エネルギー宇宙 / 宇宙線 / ニュートリノ / 理論天文学 / 素粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
反陽子宇宙線の新しい観測がAMS-02実験より発表された。その結果はまさに以前我々が予言していたスペクトルと見るからに一致していた。今回の新しい結果を受けて、我々のモデルを再度検証してみた。具体的には、反陽子宇宙線と電子・陽電子宇宙線のスペクトルを同時に同じソース、近傍で起こった超新星爆発、で説明できるかどうかを調べた。この超新星爆発モデルでは、超新星残骸で加速された宇宙線が近傍の分子雲とpp相互作用をして、反陽子宇宙線と陽電子宇宙線を同時に生成する。反陽子と陽電子の比はpp反応の素過程で決まっているが、観測された比を見事に説明する。この結果は、100万年前に近くで超新星爆発が起こったことを示唆し、パルサーやダークマターなど他のソースがなくても構わないことを意味する。 PeV ニュートリノの発見後、そのイベント数は順調に増えてきている。近い将来、観測によってニュートリノのフレーバー比も決めることができるようになると期待される。通常、ニュートリノのフレーバー比は、ニュートリノがパイオンの崩壊から生まれるので、ある決まった比になると考えられている。比を変えるプロセスとして、これまで、ソース内でのパイオンやミューオンの冷却過程が考えられていた。我々は、新たに、ソース内での粒子の加速過程がフレーバー比を変える機構となりえることを初めて提唱した。標準的な比からのずれは、ソース内での粒子加速時間などソースの物理状態を測る指標となることも分かった。この結果は、将来、ニュートリノの観測で高エネルギー天体を探る基礎となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AMS-02実験が反陽子宇宙線の結果を出してくることは予想していたが、出てきた結果が、我々のモデルとピッタリだった。これは予想通りとも言えるが、通常、実験結果は理論予想を裏切ることが多く、我々としては、予想以上にピッタリだった。その結果を受けて、新たに論文を書くことができたため、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り研究を推進する。特に、PeVニュートリノについては新たなアイデアも生まれたので論文にする。
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Causes of Carryover |
科研費研究員を雇用するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
科研費研究員を雇用する
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Research Products
(24 results)