2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26287098
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中野 実 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (70314226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 恵介 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (00553281)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蛍光 / 中性子散乱 / リン脂質 / リン脂質輸送タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
酵母のリン脂質輸送タンパク質Sec14のリン脂質輸送メカニズムの解明のため、まず、表面プラズモン共鳴(SPR)法によるSec14の脂質膜結合性を評価した。ホスファチジルコリン(PtdCho)のみ、及び、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)またはホスファチジルセリン(PtdSer)を含む脂質膜に対する野生型Sec14の結合性は等しく、脂質組成に依存しないことが判明した。一方、PtdChoの輸送に必要なアミノ酸残基に変異を入れたSec14 IIはPtdChoのみの膜に対する結合性は著しく増加し、PtdInsを含むと低下した。このことから、Sec14は輸送基質であるPtdChoあるいはPtdInsを正しくポケット内に結合させることで、脂質膜から解離する機構を有することが示唆された。 アシル鎖がピレンラベルされたPtdCho(pyrene-PC)を含むベシクルを調製し、pyrene-PCの膜間輸送に伴うエキシマー蛍光の減衰を観測することで、Sec14のPtdCho輸送能を評価した。野生型Sec14のPtdCho輸送は、脂質膜にPtdInsやPtdSerが含まれていると大きく促進された。一方、先述の通り、これらの脂質は野生型Sec14の膜結合性に影響を与えないことから、酸性リン脂質はSec14が膜上で脂質を交換する際に促進的に寄与することが明らかになった。 ゲル濾過クロマトグラフィーによる評価によって、Sec14が溶液中で会合体を形成していることを発見した。また、PtdChoやPtdInsのベシクル存在下では、Sec14の一部が単量体に解離することも明らかになった。これらの結果から、Sec14の会合―解離が脂質輸送メカニズムに関与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リン脂質輸送タンパク質のSPR法による脂質膜結合性の評価、ならびにpyrene-PCエキシマー蛍光を利用した輸送能評価については十分なデータ収集を行うことができた。pyreneラベルされたPtdInsは現在合成中である。 今回、ゲル濾過クロマトグラフィーによる評価によって、Sec14が溶液中で会合体を形成していることを発見した。脂質輸送において、Sec14の会合―解離が関わっている可能性が浮上したことから、その詳細を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
pyreneエキシマー蛍光を利用した脂質輸送能評価法は初年度に確立できたので、pyreneラベルされたPtdInsを合成後、同じ手法を用いてPtdIns輸送能の評価を進める。 ゲル濾過クロマトグラフィーによる会合体形成評価を行い、会合状態と脂質輸送活性との関連を明らかにしたい。 また、当初の予定通り、中性子散乱による脂質輸送活性評価を実施する予定である。これにより、ラベル体ではなく天然のリン脂質の輸送速度を算出できる。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入量等が当初の見込みと異なったが、ほぼ計画通り使用している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画からの大きな変更はない。
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Research Products
(22 results)