2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26287146
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 匡且 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 教授 (80192772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 俊顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20502082)
金子 俊郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30312599)
山ノ井 航平 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 助教 (30722813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レーザー粒子加速 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー照射強度が1020W/cm2を超えるパラメータ領域では高速電子の振る舞いにおいて相対論効果が顕著になってくる。そうした相対論領域では見かけ上の電子質量が重くなるためプラズマ振動数が抑制され、結果としてレーザーがカットオフ密度よりも高い電子密度にまで侵入するいわゆる相対論的透過現象が見られる。この透過現象は電子だけでなく最終的にはイオン加速のパフォーマンスにも重要な寄与をすることが予想される。昨年度は、これまで行なって来た球や円筒幾何形状における比較的弱いレーザー照射強度を適用した場合のイオン加速研究に対し、上記のように相対論効果の高い領域での電子挙動を取り入れた上でイオンの加速機構の基礎的ダイナミクスの研究を行った。また、ナノチューブ加速器の原理が「ナノチューブ軸方向の静電的加速」であることを思い返すと、電子雲を遠方に吹き飛ばしさえすれば、プロトンビームは常に軸方向に加速され且つ最大加速エネルギーも基本的にはレーザーの照射方向に依らないことがわかる。加速プロトンの最大値は、ナノチューブの直径に強く依存し、軸方向の長さには殆ど依存しない。実際これらのことは詳細な3次元粒子シミュレーションで確認されている。この特性を利用して以下の原理実証実験を行なうことでその基本的挙動を明らかにした。ナノチューブをイオン加速の道具として使ったプラズマ実験は未だ前例がなく、ターゲットとレーザーの各種パラメータの組み合わせから得られるプロトン信号(エネルギースペクトル)の実験データベース構築をおこなった。ナノチューブ内への内挿物質の有無によって得られるプロトン信号を観測する。その際、理論・シミュレーションから予想されるエネルギー帯域に匹敵する有意な信号の差が確認できれば、「ナノチューブ加速器」内部のクーロン場によって加速され原理実証を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ターゲットの幾何形状・サイズといったファクターは、超高強度レーザーがナノサイズのターゲットに照射された際に生成される加速イオンの単色性、指向性、エネルギー変換効率といった粒子加速の重要な指標を左右することが予測されてきた。現在までの研究から、それら指標に対するレーザー強度、偏向、さらに2原子混合材料における混合比などレーザー・ターゲットパラメータに対する依存性を理論モデルならびに粒子シミュレーションにより定量的に明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から球クラスターやナノチューブといった特殊形状ターゲットに対する基本的な振る舞いが明らかとなった。今後は1020~1022 W/cm2 といった相対論効果が顕著に現れるレーザー強度領域におけるナノスケールターゲットと超短・超高強度パルスとの相互作用を考慮しつつ、将来の応用展開を視野に入れた理論シミュレーション研究展開を図る。また実験的にも韓国の光州科学技術院(APRI)との国際共同研究を発展させる。
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Causes of Carryover |
本来の計画に無かった国際研究集会に出席し成果を発表する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議参加のための旅費ならびに会議参加費
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Research Products
(4 results)