2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26288099
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 拓矢 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (30525986)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高分子機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、環状の高分子から形成する分子集合体の特性が、対応する直鎖状高分子集合体の特性より大きく異なることを利用し、高分子のトポロジー変換(環状から直鎖状への切り替え)という新奇コンセプトに基づいた刺激応答性機能材料の開発を目指すものである。 これまでに申請者は、環状高分子から成るミセルが、対応する直鎖状高分子ミセルよりも構造安定性が遙かに優れていることを見出した。この現象は、同一の化学組成や分子量およびセグメント比にも関わらず、高分子の『かたち』(トポロジー)が自己組織化を介して材料特性に顕著に反映されることを示した初めての例である。本提案ではこの発見を発展させ、分子集合体を形成している環状高分子を開裂することで、トポロジーを直鎖へと変換を行った。これによって、その分子集合体の特性を大きく改変し、刺激応答性材料となった。これは、高分子自体の化学構造や分子量を変えることなく『かたち』のみの転換で、高分子鎖1本につき、僅か1個所の化学反応によって材料の特性を大幅に変更するという革新的な方略である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環状ポリ乳酸の開裂により、ステレオコンプレックス形成が阻害されやすい環状から形成が促進される直鎖状へのトポロジー変換を行い、結晶厚を変化させることで材料特性の制御を試みた。つまり、ステレオコンプレックスの形成と高分子トポロジーを複合し、環の開裂によって簡便に物性を変更できる新奇樹脂の開発を行った。さらに、環状から直鎖状への切り替えによるネットワーク構造の構築の予備実験を行った。 これらの研究段階は、予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に実施した予備実験の結果を受けて、環状から直鎖状への切り替えによるネットワーク構造の構築を活かしたゾル-ゲル相転移材料を開発する。つまり、開裂性部位を導入した環状高分子を合成し、開裂前の環状の状態では、濃厚のミセル溶液(ゾル)であるが、開裂後はゲル化するというスキームにより相転移挙動の制御を行う。 また、環状高分子中に開裂性部位を導入し、ゲスト分子を包摂した開裂性の環状高分子ゲルを、熱・電磁波・超音波などによって直鎖高分子ゲルに変換することで、ゲストのコントロールドリリースを目指す。
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定されていた研究内容の一部を、平成27年度も引き続き行うためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該実験の消耗品等に充てる予定である。
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Research Products
(31 results)