2016 Fiscal Year Annual Research Report
熱流の不安定性により生じる熱音響現象とその非線形挙動の解明
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26289036
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
杉本 信正 関西大学, システム理工学部, 教授 (20116049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 大 福井工業大学, 工学部, 准教授 (40448048)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱流体力学 / 熱音響 / 不安定性 / 非線形波動・振動 / 熱機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,静止気体中を流れる熱流の不安定性が引き起こす熱音響現象の非線形挙動を流体力学的に解明し,実験でその理論結果を検証することである.実際に観測される安定した熱音響振動は,線形不安定性と撹乱の成長に伴い発生する様々な流体運動の非線形性がバランスした結果と解釈できる.非線形性の起源は二つに大別できる.一つは,高調波に伴う衝撃波の発生や,定常的な質量流れである音響流の出現であり,これらは波に由来するものである.もう一つは,スタックの細管からの噴流や剥離をともなう渦に由来するものである.これらの非線形現象が最終的に発生する振動の振幅を決定するので,熱機関の出力の増加および効率の向上にはその解明が不可欠である.
28年度の研究は,主に前者の非線形現象について理論,実験両面から研究を行った.平成27年度の研究成果により,流路の径が粘性や熱伝導性により拡散層の厚さより十分小さい場合の非線形拡散・波動(方程式)が一般的に導き,成果を流体力学の国際的な一流の学術雑誌Journal of Fluid Mechanicsに掲載した.この方程式を基礎に,時間周期的に振動する場合の質量やエネルギーの定常的な輸送を担う音響流や熱音響流の解析結果も報告した.
一方,実験では,ループ管路内の進行波における衝撃波と孤立波,とくに熱音響ソリトンの発生を確認し,成果を国際的な一流の学術雑誌Journal of Applied Physicsに発表した.また,ループ管路および直管における熱音響自励振動の詳細について実験的に詳しく調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進展している.理論面では非線形理論の大枠を構築できたものと考えている.成果は全て国際的に一流の学術雑誌に発表した.今後はこの理論を実際に適用し,実験と比較検討することが残っている.このため,直管およびループ管路で発生する自励振動の実験を実施し,振動の詳細も大体明らかになってきている.応用面では,自励振動からエネルギーを取り出す振動発電の実験も開始した.
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Strategy for Future Research Activity |
実験結果を纏め発表できるように努めるとともに,熱音響自励振動を利用したエネルギー・ハーベスティングの研究を進める.また,本研究で対象としてきた熱音響現象は,燃焼現象においても重要な役割を果たすことが予想されるので,新分野への展開を考える.
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Causes of Carryover |
研究代表者および分担者は平成26年度4月および9月に現在の所属機関に異動した。研究環境が申請時と大きく変化して,特に実験室の確保が問題になり,学内の先端科学技術推進機構内に実験室を借用せざるを得なくなった。このため申請時には予想していなかった経費が毎年新たに発生することになり,その後年度の費用を平成28年度から捻出する必要があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の設置場所として先端科学技術推進機構内に部屋を借用し実験室として使用する。使用料は年間70万円であり,平成29年度の本研究課題終了まで毎年支払う計画である。
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Research Products
(11 results)