2016 Fiscal Year Annual Research Report
ロケット用エンジン設計を支える非定常流体力連成ロータダイナミクス解析技術の開発
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26289055
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 剛志 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70273258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 和彦 中部大学, 工学部, 教授 (30243322)
神谷 恵輔 愛知工業大学, 工学部, 教授 (50242821)
高木 賢太郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60392007)
内海 政春 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究員 (60727634)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 振動解析 / ロータダイナミック流体力 / 流体振動連成解析 / シール / 実験装置開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
下記の課題に関して実施した. 課題Ⅰ.RD流体力の理論モデル構築と計測:平行環状シールに作用するRD流体力の理論モデル拡張と構築を進めた.とくに,静的偏心+円軌道をする場合を選び,そのRD流体力の振幅依存性を解くために非線形バルクフロー理論を開発し,その特徴を解析的に明らかにした.本成果では,偏心と大振幅の連成作用を始めて解析的に示しており,これは従来理論では一切考慮されておらず,初めて解析されたものである. 課題Ⅱ:平行環状シールに関するRD流体力と軸振動との連成解析:平行環状シールに関するRD流体力の2次元CFD解析コードを開発した.そしてそのCFDコードと,単純ロータとではあるが軸振動との連成解析を達成し,様々な回転軸系の特長下におけるRD流体力の振動への作用を明らかにした. 課題Ⅲ-1.流体要素を組み込んだロータダイナミクス試験装置設計と製作:代表者の所属機関(名大)に設置するモータ駆動のロータダイナミクス試験装置の製作を行った.自転用モータ,公転用モータ,流体供給用ポンプそれぞれの設置を完了し,それぞれの単独での運転を確認した.また,圧力計測系についても全必要部品の納入を完了した.まだこれらすべてを組み合わせての装置完成には至っておらず,今後実験実施のスピードを上げていく. 課題Ⅲ-2.磁気軸受を用いたRD流体力測定装置と制御系の開発:代表者の所属機関(名大)に設置する磁気軸受を用いたRD流体力測定装置と制御系の開発を行った.円軌道以外の,偏心を伴う楕円軌道などの実現を達成し,また接触シールに作用する力の測定を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析については,対象として平行環状シールを選びながら,静的偏心がある場合の円軌道振れ回り時のRD流体力の振幅依存性に関する解析手法を構築でき,精度の向上が達成できた.また,平行して2次元CFDコードを開発し,このコードを用いた解析により,上記及び前年度までの成果について,詳細な検証と有効性の確認を実施できた.さらには,この2次元CFDコードと単純ロータの振動との連成解析も達成した.この成果は,本研究申請時に最重要項目として掲げていた連成解析コードの基盤となる成果であり,今後2年間で,計算規模の拡大と高速化を図っていく.またこれと並行して,申請時の計画にはなかったが第2年度から引き続きCFD解析も行い,流体力の解析を詳細に実施してきており,上記解析結果の多様な検証用データを取得してきている.
実験については製作が少し遅れ気味ではあるが,実験装置の基礎的部品である2つのモータと制御盤,流体ポンプと制御盤の購入と設置を終え,配管等の流体系の接続を終えることができた.これらの細部を調整を進め,H29年度前半にはRD流体力の計測を開始できる予定である.また並行して,申請時の計画にはなかった磁気軸受で加振する装置も開発でき,こちらを用いた計測と実証を行っていくことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
課題Ⅰ-1:RD流体力の理論モデル構築と計測:楕円軌道振れ回り時,およびそれに偏心を伴う場合のシールのRD流体力の理論モデル拡張と構築を進める.また,シール以外の対象として,オープンインペラの解析にも着手する. 課題Ⅰ-2:2次元CFDを用いた各種流体要素のRD流体力の特性解析:インデューサ・インペラ・流体軸受に関するRD流体力モデルの検証とパラメータ推定を行う. 課題Ⅱ:流体力と軸振動の連成解析コードの拡張:軸振動解析モデルをFEMモデルに拡張し,その連成解析コードの開発と高効率化を行う. 課題Ⅲ-1:流体要素を組み込んだロータダイナミクス試験装置(名大)を用いた実証実験:平行環状シールを取り付け,流体要素近傍の変位(変位センサ)を計測してRD流体力の作用の実証実験を行う. 課題Ⅲ-2:磁気軸受加振の実験装置を用い,液体シール,すべり軸受から各種の流体要素のRD流体力の測定を行う.回転速度掃引時や多様な軌道を実現し,その際の各部位の振動や力を詳細に計測する.
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Causes of Carryover |
実験装置の製作が難航し,納品時期が大きく遅れたため.さらには,この納品物に合わせて購入予定であったものの選定が間に合わなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度納入されたものは実験の目的にまだ合致しておらず,再度製作しなおす必要がある.この作成と,さらには,計測系の物品の選定と購入を次年度の予算と合わせて行う.
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