2014 Fiscal Year Annual Research Report
ビッグデータのリアルタイム処理に向けた新機能材料を用いた集積回路システムの研究
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26289110
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
竹内 健 中央大学, 理工学部, 教授 (80463892)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子デバイス / データストレージ / マイクロナノデバイス / 情報システム / ハイパフォーマンスコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT-RAM)、遷移金属酸化物(ReRAM)など、新機能材料を用いたストレージ・クラス・メモリを活用する集積回路・デバイスの研究を実施。機械学習を用いたメモリ制御により、ReRAMの信頼性(書き換え回数)を13倍向上させることに成功した。またCNT-RAMについては低ストレスなメモリ駆動回路方式を考案し、20uAという低電流動作と10の11乗以上の高い書き換え耐性を実現した。学術的には、従来のCMOSベースの回路の学問体系を新機能材料に拡張した新たな回路システム学の基盤を確立した。以上の成果を積極的に論文発表を行い、半導体関係で世界トップレベルの国際会議であるIEEE Symposium on VLSI Technologiesなどの査読つき国際会議で6件の論文を発表、電子デバイスで最も権威のあるIEEE Transactions on Electron Devicesなどの査読つき英文ジャーナルで論文を発表を9件発表。その他にも国内の学会で6件の発表を行い、メディアから11件の報道があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CNT-RAMの特性評価、書き込み性能解析の結果、カーボンナノチューブにおいて予想外の現象が観測されるなど、当初の予定にない新たな問題に取り組みつつも、研究を加速することで当初予定した内容も十分な成果を挙げており、全体としては以上の成果を出している。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノメートルスケールのストレージ・クラス・メモリに最適な制御回路システムを構築する。メモリセルアレイの信頼性評価により、当初の予想に反して高いストレスを印加した方が書き換え耐性が向上することがわかっている。これはストレスと書き換え耐性のトレードオフを解決する重要な発見であり、この新現象をうまく活用することで、高速・高信頼・低消費電力なメモリ動作を実現する。プロセスのばらつきに加えて、回路のゆらぎに対してもロバストな回路システムを検討する。メモリセルをセルアレイに集積する際は、セルアレイ内の駆動配線もナノメートルサイズに微細加工され、配線抵抗が増大する。配線の抵抗の増大により、セルアレイ内の電位は揺らぐ(I・Rドロップ)。電圧の揺らぎは、周囲のメモリセルのデータに依存する。周囲に低抵抗のセルが多いほど、配線に流れる電流は増大し、電位の揺らぎが大きくなる。この回路ノイズによってもメモリセルの特性はゆらぐ。プロセスのみならず回路起因の様々なばらつきも考慮して最適なナノ回路システムを構築する。
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Causes of Carryover |
平成26年9月、ナノメモリの特性評価、書き込み性能解析の結果、当初の予想に反し、カーボンナノチューブにおいて電界効果とフォノン散乱の効果に関する新現象が起こることが判明した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究遂行上、この現象の本質を見極めることは、ナノメモリを活用したメモリシステムを構築する上で不可欠なものであるため、この現象について追加の解析と物理メカニズムの構築を行う必要が生じた。
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