2016 Fiscal Year Annual Research Report
確率ゆらぎと相互作用し機能する制御系の設計論:不変測度解析と応用
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26289130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加嶋 健司 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (60401551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 公之 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00183020)
山下 沢 武庫川女子大学, 薬学部, 准教授 (70398246)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制御工学 / 機械学習 / 情報通信工学 / 薬学 / 確率 |
Outline of Annual Research Achievements |
不変測度の解析の工学応用に関する理論研究においては、前年度に導出した雑音環境下における可制御性に関する理論結果とデータドリブンモデル縮約手法の関連を明らかにした。この結果は、制御工学における最も古い概念の1つである可制御性グラミアンを矛盾のないかたちで非線形システムへと拡張できることを意味し、この成果はScientific Reportsに掲載された。さらに、従来は実用的であるが理論的な保証が得られないとされていた手法が、理論的にも最適であることが証明された。これは、モデルベースド手法とデータドリブン手法の橋渡しとも言える結果であり、さらに深層学習などの学習理論的手法を制御工学における問題に活用する研究を進めている。また、継続的に非ガウス性雑音下におけるシステムの解析・制御に対しても新たな理論結果を導出するとともに、それらを電力ネットワークの実システムに応用する研究を推進し、国際論文誌などに発表した。通信ネットワークにおける応用課題においては、ネットワークトラフィックの確率的モデリングや予測・推定、Effective leadership modelを用いたポテンシャルルーティングに関する研究をすすめた。薬学応用に関しては、昨年度に掲げた研究計画に基づき、シトクロムP450およびその還元酵素を用いて、タンパク質間の電子伝達速度の測定を行った。また、電子伝達へ影響が考えられるシトクロムP450の変異体数種についても同様の測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報通信ネットワークに関する研究課題は当初の予定どおりに進捗しており、理論研究は学習理論との融合という新たな方向性が生まれたため、当初の予定に加え研究を進めている。薬学応用に関しては、シトクロムP450の還元酵素から電子が伝達されることでシトクロムP450に含まれる鉄が還元される変化をモニタリングし、モデルを構築して解析することに成功している。現在は構築したモデルと実測データの整合性を得るために、条件を変更しながらデータの集積に努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究においては、学習理論を併用した確率システムの同定・解析・制御手法を開発するとともに、それらの産業応用も視野に入れる。通信ネットワークへの応用課題においては、トラフィックエンジニアリングに対する制御工学的アプローチを継続的に取り組む。薬学応用に関する課題においては、昨年度に得られた還元速度に関するデータを基に、更なるデータの集積によって、シトクロムP450およびその還元酵素に関して解析を行うことで、生体内での酵素に関する挙動を検証する。
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Causes of Carryover |
国際会議の参加登録料などを予定していたが、支払いが次年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた国際会議の参加登録料などに使用する。
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Research Products
(9 results)