2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会の安全なモビリティ確保を目指した自動車運転行動及び支援方策に関する研究
Project/Area Number |
26289175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇野 伸宏 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (80232883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮花 一己 帝塚山大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00167074)
倉内 文孝 岐阜大学, 工学部, 教授 (10263104)
中村 俊之 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10419062)
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40422993)
山崎 浩気 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60612455)
吉井 稔雄 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (90262120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 交通工学 / 交通安全 / 高齢化社会 / ITS / モビリティ / 公共交通不便地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高齢者にとってのモビリティの確保を指向しつつ,交通安全性の向上を進めるための基礎研究であり,次の3点に取り組むものである.1)事故多発区間,交通コンフリクトの多発地点において,顕著な道路交通要因を事故,道路構造,線形,交通の各データを用いた統計分析より抽出し,事故リスクの高まる環境を想定した上で,ドライビングシミュレータによる模擬走行実験を行い,認知・判断・操作,車両挙動に加え,周辺車両との事故危険性に基づき,被験者の運転特性を明らかにする.2)安全な道路交通システムを構築する上で各種運転支援施策の導入を想定し,模擬走行実験を実施し,その正負両面の影響を明らかにする.3)公共交通不便地域における高齢者を中心とした現状の交通行動,モビリティニーズを把握するとともに,高齢者が自動車を運転する場合の支援の可能性と課題について知見を得る. 27年度は,2)として安全な道路交通の支援という点で,生活道路における自動車と歩行者のコンフリクトに着目し,歩行者接近情報の効果を模擬走行実験により明らかにした.実験の結果,歩行者接近情報の提供は,直接視認できない歩行者の存在を知ることができ,交差点前での速度低減に有効であることを検証した.一方,情報依存により実験を重ねにつれ,交差点での走行速度の上昇が発現し,リスク補償行動もみられる結果となった. つづいて,静岡都市圏において公共交通利用の実態を交通系ICカードデータにより把握するとともに,ICカードの保有者の協力を得て,アンケート調査により交通手段ごとのモビリティ水準,日常的な外出を伴う諸活動の実態および各自の生活満足度を把握した.全年齢層において自動車利用の可否や満足度評価の高低が大きく移動満足度,ひいては生活満足度に影響を及ぼすことが明らかとなった.特に高年層では自動車の利用に対する不満の影響が支配的になっていることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度の研究計画については,概ね当初予定通りに進捗してきている.なお,安全な道路交通システムの構築に資する各種運転支援施策に関して,その導入を想定した模擬走行実験については,被験者数の積み増し等の点で今後対応を行う予定である.また,高齢者を中心とした現状の交通行動,モビリティニーズの把握を目指したアンケート調査については,基礎集計を中心とした分析にとどまっている質問項目もあり,今後,各種統計分析の適用を通じて,生活満足度とモビリティの関係について,詳細に分析する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況にも記載の通り,27年度課題である各種運転支援施策の導入を想定した模擬走行実験,および,高齢者を中心とした現状の交通行動,モビリティニーズの把握を目指したアンケート調査については,被験者数の増強および分析の精緻化の点でブラッシュアップを継続する.その上で,28年度の課題である運転支援方策の具体化を進め,高齢者を含む被験者を対象に模擬走行実験を実施し,運転支援方策の正負の影響の特定を進め,3か年にわたる研究の取りまとめを行う予定である.
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Causes of Carryover |
基金において次年度使用額が生じたのは,模擬走行実験の被験者数が当初見込みより若干少なかったためであり,被験者に対する謝金の残金である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,28年度に実施する模擬走行実験の被験者謝金として活用する予定である.
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Research Products
(9 results)